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意外と知らない、ピントとズーム

意外と知らない、ピントとズーム

 

サンプルの観察・撮像を行うためには、まずは自分の眼で見たい視野を探し出し、サンプルの状態を適切に反映した像を捉えることが重要になります。
しかし、視野を探すのに時間を取られてサンプルにダメージを与えてしまう、眼に疲労がたまる、撮影した像のピントがぼけてしまう、といった経験はありませんか?
今回は観察・撮像の視野をすばやく得るための、実体顕微鏡、正立・倒立顕微鏡に共通したピント合わせと、ズーム操作(実体顕微鏡のみ)のコツをご紹介します。

意外と知らない、ピントとズーム


無意識で働く、もうひとつのレンズ

顕微鏡とは、端的に表現すると「多数のレンズを組み合わせ、サンプルの拡大像を見るための道具」です。顕微鏡観察の際に働くレンズのうち、特に「接眼レンズ」と「対物レンズ」と呼ばれるものが、目的に合わせた倍率やピント調節ができるのは、ご存じの通りです。
そしてもうひとつ、観察の際に無意識のうちに働くレンズがあります。そのレンズの名前は、水晶体。私たちの眼が持っているレンズは、遠くを見るときにも近くを見るときにも網膜に鮮明な像を映せるよう、随時厚さを変えているのです。

この働きにより、顕微鏡側のピント調節が少しくらいずれていても眼が対応することで、きれいな像を見ることができます。「光源から網膜までが顕微鏡」とも言われるほど、眼の働きは重要なのです。
しかし眼のピント調節は筋肉で行うため、使いすぎは疲労が蓄積する原因にもなります。さらに、左右の接眼レンズの幅や視力の違いも、疲労が蓄積する原因の1つです。したがって、顕微鏡側での適切な調節は、スピーディーな観察のためには必要不可欠なのです。
では、最適な観察のためにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。これには、

  1. 接眼レンズと眼の幅を合わせる
  2. 左右の視度を調節する
  3. ズーム操作でピントがずれないようにする(実体顕微鏡のみ)

の3つのポイントがあります。それぞれについて、調整方法を見ていきましょう。 

意外と知らない、ピントとズーム2


1.接眼レンズと眼の幅を合わせる

2つの接眼レンズを使ってひとつの視野を見るための必要な操作を、眼幅調整と呼びます。
この操作を行うにあたっては、まず眼を正しい位置「アイポイント」に置く必要があります。お使いの顕微鏡のアイポイントを知るために、対物レンズ10×(実体顕微鏡ではズームを低倍側)にした上で、接眼レンズの手前に紙を立て、前後に動かしてください。するとレンズから出てきた光が収束する焦点があるのがわかるはずです。そこがアイポイントです。(下記写真 右)

アイポイント位置
アイポイント位置

眼幅調整
眼幅調整

アイポイントがわかったら、その位置に眼を置いて、遠くを見るように意識しながら接眼レンズを覗き、両接眼レンズの幅を調整しましょう。両目で見て、視野がひとつのきれいな円になったら調整は成功です。


2.左右の視度を調節する

両目でひとつの視野を作れたら、次は左右の眼の視力に合わせて、視度を調節しましょう。お使いの顕微鏡で、両方の接眼レンズに視度調整環が付いている場合は、次の項目で同時に視度調節を行うので、この項目は飛ばして大丈夫です。
片方の接眼レンズ側にしか視度調整環が付いていない場合は、以下の操作で視度を調節しましょう。 

  1. 調整できない側の接眼レンズ(多くの場合は右側)を、そちら側の眼で見て、粗動・微動ハンドルを使ってピントを合わせる。
  2. 調整できる側の接眼レンズを、そちら側の眼で見て、視度調整環を使ってピントを合わせる。

必要な操作は、たったこれだけです。

視度調整
視度調整

3.ズーム操作でピントがずれないようにする(実体顕微鏡のみ)

顕微鏡観察の際、倍率を変えるたびにピントがずれてしまい、調整に時間がかかった経験はないでしょうか?実体顕微鏡と、両接眼レンズに視度調整環が付いている正立・倒立顕微鏡に限定されますが、実はこの現象も、調節次第で克服できるのです。そのための操作方法を以下にご紹介します。

  1. ズームハンドル/対物レンズを低倍率側にして、粗動・微動ハンドルでサンプルにピントを合わせる。(正立・倒立顕微鏡では10×対物レンズなど)
  2. 次に、ズームハンドル/対物レンズを最高倍率側にして同じようにピントを合わせる。(正立・倒立顕微鏡では40×対物レンズなど)
  3. ズームハンドル/対物レンズを低倍率側に戻す。低倍率側でピントがぼけていたら、左右接眼レンズの「視度調整環」を回してピントを合わせる。
    ワンポイント!
    ここで再度粗動・微動ハンドルでピントを合わせていては、同じことの繰り返しです。ピントがぼけていたら、左右接眼レンズの「視度調整環」を回してピントを合わせるのが、最大のポイントです。
  4. 再 びズームを最高倍率にして、ピントが合っているか確認する。もし、ピントが合わなければ、微動ハンドルで調整をして、再度 3.~4.の操作を行ってください。何度か繰り返せば、ズームを変えても、あるいは低倍高倍の切り替えをしてもピントはずれなくなります。何度か繰り返し てもピントが合わない場合は、光学系の調節にズレが生じている可能性がありますので、メーカーに相談してみてください。
実体顕微鏡の操作箇所
実体顕微鏡の操作箇所


毎回の調節ですばやい操作を

顕微鏡観察は、数時間以上かかることも少なくありません。その中で最適な撮影条件を決めるための時間が長すぎると、蛍光の褪色を起こしたり、生きた組織ならばダメージを与えてしまう原因となります。
上記の調節は、慣れれば数分でできるようになるでしょう。少し面倒でも、毎回しっかりと調節していくことで、見たい視野をすばやく得ることが可能となるのです。

毎回の調節ですばやい操作


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