スフェロイドのコラーゲンゲルへの三次元浸潤解析
腫瘍浸潤に関連する因子を標的とした抗がん剤の影響を調べるために、NoviSightソフトウェアを使用して、がんスフェロイドのコラーゲンゲルへの浸潤の共焦点画像を定量的に評価しました。
目的
転移カスケードは、浸潤、血管内浸入、血管外浸出という3つの主要プロセスに大別することができます。最初の段階である腫瘍浸潤は、腫瘍の進行において根本的なものであり、転移の原動力です。また、腫瘍浸潤は、細胞外基質(ECM)の分解、細胞間接着の剥離、細胞遊走という3つのプロセスから成っています。ECMは、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンおよびプロテオグリカンなどの細胞外分子の集合体であり、複雑なネットワークを形成しています。腫瘍細胞は、ECMの分解と再構築を繰り返しながら、集合的に遊走します。浸潤能や薬効を評価するために、創傷治癒アッセイやトランスウェルアッセイがよく使われます。これらの従来のアッセイはシンプルであまり費用がかかりませんが、腫瘍の微小環境がないために細胞は極性化や細胞間コミュニケーションなどの関連特性を失います。そのため、これらの人工的なアッセイでは、in
vitro実験とin
vivo実験の中間で化合物の効能を予測してもあまり役に立たないことが示されます。腫瘍の微小環境を再構築するために、3次元ゲル内浸潤アッセイが徐々に普及してきました。このアッセイは、ゲル基質中に腫瘍スフェロイドを埋め込むことによって、腫瘍の微小環境を再構築することができます。埋め込まれたスフェロイドは徐々に成長してゲルに入っていきます。このアッセイは腫瘍の形態や浸潤の集合性を精密に再現することができます。本研究では、NoviSightソフトウェアと3次元ゲル内浸潤アッセイを使用して、浸潤性スフェロイドに対する抗がん剤の効果を定量的に解析しました。本研究は、同ソフトウェアが複雑な形状の腫瘍の浸潤を定量化する能力を実証します。
サンプルの作製
ヒト線維肉腫細胞HT1080の細胞懸濁液を、U底96ウェルプレート(コーニング®イ)に播種しました(1日目)。3日目に、HT1080スフェロイドをマトリゲル(コーニング®)に埋め込んで、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を特異的に阻害する抗がん剤であるBatimastatを含有する培地をマトリゲル上に添加しました。5日目に、細胞核をHoechst
33342で染色しました。
結論
蛍光画像の取得と解析
共焦点レーザー顕微鏡FV3000を使用して観察を行いました。5日目に、処理を施していないスフェロイドは強力な浸潤を示しましたが(A)、Batimastat存在下では浸潤が抑制されていました(B)。NoviSightソフトウェアによって、浸潤部とその複雑な3次元構造が認識されました(C:赤い部分がスフェロイドの中心、青い部分が浸潤部位です)。ソフトウェアの体積解析機能を利用して、Batimastatが用量依存的にHT1080スフェロイドの浸潤を抑制したことを確認できました(D)。
U底96ウェルプレートは、コーニング®インコーポレイティッドの登録商標です。
Olympusはオリンパス株式会社の登録商標であり、NoviSightおよびInsightful Analysis、Intelligent Answersはオリンパス株式会社の商標です。
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