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オリンパス・バイオイメージング・カンファレンス:新次元の探索 | 3日間のバーチャルイベント | 2022年3月9日~11日

バイオイメージング・カンファレンス

バイオイメージングは、創薬、診断、ライフサイエンス、臨床研究などの分野において、細胞、組織、分子を撮像し分析するために不可欠なツールです。 イメージング技術の急速な進歩により、研究者にとって最近まで不可能であった方法でも、検体の視覚化と定量化が可能になりました。 超解像やAIアシストイメージングといった技術の出現に伴い、検体をナノメートルスケールで明瞭に観察でき、ストレスフリーで正確なデータ分析が行えます。 今回のバーチャルカンファレンスでは、光学顕微鏡法バイオイメージング技術における最近のイノベーションを探り、理解することを目的としています。 3日間のイベントにわたり、専門の講演者が、超解像顕微鏡法、FRAPやFRETを含む蛍光技法、新規のプローブなどのトピックについて説明します。

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内容

時間(GMT +8) 1日目
2022年3月9日
2日目
2022年3月10日
3日目
2022年3月11日

午後1:30~1:40

歓迎挨拶

プレゼンター: Kefeng Wang氏、ライフサイエンス・セールス部長、科学ソリューションビジネス部、Olympus China

議長挨拶

プレゼンター: Qian Peter Su博士、研究責任者、シドニー工科大学(UTS)

歓迎挨拶

プレゼンター: Sam Habib氏、APACセールス代表、科学ソリューションビジネス部、Olympus Corporation of Asia Pacific

議長挨拶

プレゼンター: Sarah Ellis教授、Centre for Imaging the Tumour Environment(CITE)代表、オーストラリア

歓迎挨拶

プレゼンター: Olivier Dupuis氏、APACマーケティング代表、科学ソリューションビジネス部、Olympus Corporation of Asia Pacific

議長挨拶

プレゼンター: Graham Wright博士、Research Support Centre(RSC)A*STAR所長、シンガポール

午後1:40~2:25

スパース・デコンボリューションを用いた蛍光顕微鏡における物理的解像限界の克服

講演者: Liangyi Chen博士、College of Future Technology、北京大学

詳細情報

ショウジョウバエをモデルシステムとして用いたin vivoにおける蛍光共鳴エネルギー移動および光退色後蛍光回復法の応用

講演者: Krishanu Ray博士、生物科学部、Tata Institute of Fundamental Research、インド

詳細情報

4Dイメージング用のジェントルプローブ

講演者: Zhixing Chen博士、College of Future Technology、北京大学

詳細情報

午後2:25~3:10

超解像イメージング、単一分子追跡、高スループット・デジタルアッセイのためのアップコンバージョン・ナノフォトニック・システム

講演者: Dayong Jin教授、シドニー工科大学および南方科技大学、オーストラリア

詳細情報

ナノスケール・バイオフォトニクス:マルチモードイメージングを用いた体内作用の理解

講演者: Brant Gibson教授、ロイヤルメルボルン工科大学、メルボルン、オーストラリア

詳細情報

ミトコンドリア・カルシウム・ユニポーター複合体の複合調節

講演者: Karthik Mallilankaraman博士、Yong Loo Lin School of Medicine、シンガポール国立大学

詳細情報

午後3:10~3:45

オリンパスのIXplore SpinSRシステムを用いた生細胞における見事なディテール

講演者:Shaoling Qi氏、Olympus China

詳細情報

シロイヌナズナ・オートファジー関連遺伝子3(ATG3)によるATG8eの液-液相分離でオートファジーを促進

講演者: Bin Guan博士、農学生物学部、上海交通大学

詳細情報

汎用合成抗生物質のミトコンドリア再配置:がん治療への非遺伝毒性アプローチ

講演者: Jong Seung Kim教授、化学科、高麗大学校

詳細情報

午後3:45~4:30

高品質、高速、強力:細胞骨格関連活動における蛍光イメージング

講演者: Xueliang Zhu博士、Shanghai Institute of Biochemistry and Cell Biology、中国科学院

詳細情報

ライブデモ:オリンパスのIXplore™スピンシステムおよびcellFRAPモジュールを用いた高速、正確、柔軟な写真編集

デモンストレーター:Mitsuru Araki氏、Olympus China

詳細情報

ライブデモ:オリンパスFLUOVIEW™ FV3000近赤外共焦点レーザースキャン顕微鏡

デモンストレーター:Srivats Hariharan氏およびGuo Lin氏、Olympus Singapore

詳細情報


講演者

Liangyi Chen博士

College of Future Technology
北京大学

Krishanu Ray博士

生物科学部
Tata Institute of Fundamental Research、インド

 Liangyi Chen博士

略歴

Liangyi Chen博士は、 北京大学で教授を務めています。 Xi’an JiaoTong大学で医用生体工学の学士号を取得した後、華中科技大学で医用生体工学の博士号を取得しました。 同教授の研究室では2つの絡み合う側面に焦点を当てています。1つ目は、イメージングと定量的画像解析に関する新しいアルゴリズムを開発することです。2つ目は、これらの技術を応用して、動物の健康モデルと疾病モデルを対象に、グルコース刺激性のインスリン分泌が、複数のレベル(単細胞、島、in vivo)で、健康時および疾病時にどのように調整されているかを研究することです。 開発された技法には、次のようなものがあります:生細胞の超解像イメージングを実現する超高感度ヘッセ構造化照明顕微鏡法(Hessian SIM)、光学系で制限を受ける蛍光顕微鏡の空間分解能を拡張できるスパース・デコンボリューション・アルゴリズム、細胞小器官におけるインタラクトームの3次元挙動を明らかにすることができる超解像蛍光アシスト回折コンピュータ断層撮影(SR-FACT)、組織と微小有機体のイメージングが可能な2光子3軸デジタルスキャン・ライトシート顕微鏡法(2P3A-DSLM)、自由に行動するマウスにおける脳のイメージングが可能な高速高解像度小型2光子顕微鏡法(FHIRM-TPM)。 同教授は、中国国家自然科学財団から優秀奨学金基金を受給されている方でもあります。

要旨

スパース・デコンボリューションを用いた蛍光顕微鏡における物理的解像限界の克服

本セッションでは、 Chen博士が自身の研究室で生検体イメージング用に開発した、2つの新しい高解像蛍光顕微鏡法について紹介する予定です。

「1つ目は、生細胞長時間超解像(SR)イメージングです。 私たちは、ヘッセ行列に基づく構造化照明顕微鏡法(Hessian-SIM)に用いるためのデコンボリューション・アルゴリズムを開発しました。 このアルゴリズムでは、多次元の生物学的構造における連続性が演繹的知識として用いられ、画像再構成のガイダンスが得られます。従来のSIMにおいて10%未満の光子線量を用いた場合、アーチファクトが最小限に抑えられたSR画像が得られます。低信号強度においては、現在のアルゴリズムよりもはるかに優れています。 高い感度により、蛍光タンパク質の光退色抑制のために暗所で回復させる時間を設ける前に、サブミリ秒の励起パルスを使用できるため、生細胞において1時間の長いタイムラプスSRイメージングが可能となっています。

初期に行った研究の後、生細胞超解像顕微鏡法の空間分解能には、最大収集光子束による制限があることに気付きました。 生物学的構造におけるスパース性と連続性を演繹的知識として利用し、同じ光子数でも超解像顕微鏡の分解能を約2倍に高めることができるデコンボリューション・アルゴリズムを開発することになりました。 その結果、スパース構造化照明顕微鏡法(Sparse-SIM)により、564 Hzのフレームレートにおいて約60 nmの分解能を達成しています。小胞融合細孔、さまざまなヌクレオポリンからなるリング状の核膜孔、生細胞のミトコンドリアにおける内膜と外膜間の相対的動態など、複雑な構造中間体を観察できるようになります。 同様に、スパース・デコンボリューションは、スピニングディスク共焦点ベースSIM(SD-SIM)の3次元分解能やコントラストを向上するためにも使用でき、不十分なSN比条件下でも動作します。こうしたことすべてによって、約90 nmの分解能による4色、3次元の生細胞超解像イメージングが常に可能になります。 スパース・デコンボリューションは、全体として見ると、生細胞蛍光顕微鏡法における時間・空間分解能の限界を押し広げるための一般的なツールになる可能性があると考えています」

 Krishanu Ray博士

略歴

Krishanu Ray博士は、インド国立科学アカデミーのフェローおよび、インドのムンバイにあるTata Institute of Fundamental Research(TIFR)生物科学部の教授を務めています。 カルカッタ大学では生物物理学、分子生物学、遺伝学の修士号を修め、TIFRではムンバイ大学の支援の下で分子生物学の博士号を修めました。 その後、シンガポールの分子細胞生物学研究所、サンディエゴのカルフォルニア大学ハワード・ヒューズ医学研究所での研究を経て、TIFRに移りました。 Krishanu Ray博士は、1998年にTIFRで研究室を開設し、モータータンパク質の分子細胞生物学を詳細に調べ、有機体の発生と挙動に及ぼす影響を研究しています。 研究では、軸索や繊毛内において、どのように分子モーターであるキネシン2が、外的刺激に反応して可溶性タンパク質および小胞関連タンパク質を移動させるかに焦点が当てられています。 細胞膜において、緊張により収縮性アクトミオシン複合体が誘導される機序についても研究しています。 顕微鏡のツールを使用することで、タンパク質間の相互作用と動態だけでなく、ショウジョウバエのニューロンやその他の組織における蛍光タンパク質の細胞内分布も可視化できます。

要旨

ショウジョウバエをモデルシステムとして用いたin vivoにおける蛍光共鳴エネルギー移動および光退色後蛍光回復法の応用

蛍光顕微鏡法は、さまざまな分子状態や分子パラメーターの観察に利用されています。 共焦点顕微鏡法と遺伝子にコードされた蛍光タンパク質を導入することによって、このin situ技術の適用範囲が細胞およびサブ細胞のスケールに広がり、内因性タンパク質の機能特性や分布を自然な環境において観察できるようになりました。 本セミナーでは、特定の2つの方法(蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)および光退色後蛍光回復法(FRAP))をショウジョウバエの生組織に適用することについて説明していきます。 FRETは、分子スケールの物差しであり、1つのタンパク質における2点間距離や、2つのタンパク質間の距離を測定できます。 距離は、蛍光寿命データと、アクセプターとドナーにおける発光の変化から評価できます。 この技法を使用して、キネシン2モーターのサブユニット間の相互作用ダイナミクスや、軸索におけるコリンアセチルトランスフェラーゼとキネシン2モーター間の相互作用ダイナミクスを評価しました。 FRAPはシンプルでありながら、細胞内部における分子の流れを測定できる強力なツールです。 FRAPを使用して、軸索におけるコリンアセチルトランスフェラーゼ、繊毛における嗅覚受容体補受容体、成熟精細胞の周囲の体細胞におけるFアクチン動態など、可溶性タンパク質の動きを観察しました。 これらのツールを使用することにより、特定の生物学的コンテキストにおいて、タンパク質間の相互作用状態や、細胞内の動態に関する重要な洞察が得られます。

Zhixing Chen博士

College of Future Technology
北京大学

Dayong Jin教授

シドニー工科大学および南方科技大学、オーストラリア

 Zhixing Chen博士

略歴

Zhixing Chen博士は、 清華大学で化学生物学の学士号を取得し(2008年)、コロンビア大学で化学の博士号を取得しました(2014年、 Virginia Cornish教授およびWei Min教授とともに)。 その後、スタンフォード大学(博士研究員、2016年~2018年、 Yan Xia教授とともに)、コロンビア大学(博士研究員、2015年)、北京大学(RA、2008年~2009年)で研鑽を積んでいます。 Zhixing氏は研究経験の幅広い化学者であり、研究対象は天然物合成、高分子化学、蛍光および非線形光学プローブ、生体共役反応化学、生細胞イメージングにわたります。 優れた業績には、振動性パレット、マルチプレックス・ラマンイメージング用に同位体編集したアルキン基およびニトリル基、ラダラン開環反応に関する研究や、機械的な力を用いて高分子を絶縁体から半導体へ再設計する研究が挙げられます。 Zhixing氏が現在注目しているのは、高い生体適合性を備えた新しいイメージングツールを開発し、高度なバイオイメージング技術を推進することです。

要旨

4Dイメージング用のジェントルプローブ

現代の蛍光イメージング技法を用いれば、生細胞における細胞小器官の動態を必ず明らかにできます。 しかし、照明を強くすると、光毒性の問題がよく起こるようになりました。 Chen博士は、化学的な観点から、 有機色素を最小限の光毒性で取り扱う方法について説明し、ミトコンドリアマーカーとインスリン分泌マーカーに関する2つの例を挙げます。 光学的アプローチを用いて光傷害を低減するという現在進行しているテーマと相まって、4次元の生理学の時代において、これらの生体適合性プローブを使用することで、新たな空間・時間情報が必ず得られます。

 Dayong Jin教授

略歴

Dayong Jin教授は、 2017年からシドニー工科大学(UTS)で特別栄誉教授、2019年から南方科技大学で特別招聘教授を務めています。

Jin教授は、2007年にマッコーリー大学で博士号を取得しました。 マッコーリー大学では、2010年に非常勤講師、2013年に上級講師、2014年に准教授、2015年に教授に昇格しました。

シドニー工科大学では、所長として「低レベルでのエンドユーザー分析用統合型デバイスの全豪産業変革研究ハブ(ARC IDEAL Hub)」、「産業・科学・エネルギー・資源省によるポイント・オブ・ケア検査に関する豪中共同研究センター(DISER POCT)」、「生体医用材料および機器に関するUTS-SUStech共同研究センター」を設立しました。これら3つの主要なプログラムは、生体医用材料および機器に関するシドニー工科大学研究所(IBMD)を支えるものです。これにより、バイオ技術におけるフォトニクスと材料に対する従来の考え方が大きく変わりました。

Jin教授の研究は物理、工学、学際的科学にまたがっており、専門分野は生体医用光学、ナノ技術、顕微鏡法、診断、マイクロ流体力学に関する機器をカバーしています。

Jin 教授は、学際的科学研究に関するオーストラリア博物館Eureka賞(2015)、オーストラリア科学アカデミーJohn Bookerメダリスト(2017)、2017年最優秀物理科学者・内閣総理大臣賞を受賞しています。 2021年には、オーストラリア名誉研究奨励金を獲得し、技術および工学に関するオーストラリアアカデミー研究奨励金プログラムに選出されました。

要旨

超解像イメージング、単一分子追跡、高スループット・デジタルアッセイのためのアップコンバージョン・ナノフォトニック・システム

Jin博士は、 ナノフォトニクス、バイオフォトニクス、量子バイオフォトニクスにおける最近の進歩について紹介します。こうした進歩により、単一分子の感度を備えた細胞プローブや細胞センサーへの転換が可能になります。

「私たちは、分子プローブの開発と並行して、生細胞の詳細を高次元かつ超解像で取得するための新しいモダリティーを発明し、一連の新装置を考案してきました。

話の中で、ナノフォトニクス「スーパードット」という新しい技法における最近の進歩について説明する予定です。この技法を用いると、ナノスケールにおいて赤外光子を強い可視光にアップコンバートできます。 それぞれの単一のスーパードットに、10^4個を超えるランタニドイオンを高濃度ドープすることで、高輝度と非線形光学応答が得られます。 その後、いくつかの興味深い特性が発見されました。特性を適用することで、高スループットの生物学的発見、データストレージ、単一ナノ粒子レーザー発振、高セキュリティレベルの偽造防止などの用途に対応でき、単一分子輸送の追跡、超解像顕微鏡法、ナノスケール測温法、そして最近では大容量の単一分子デジタルアッセイや光学ピンセットにおいて記録を打ち立てています。 私たちの研究により、生理環境における単一分子と生細胞の超解像イメージングが可能になります。作業中にサブ細胞内コンパートメントを観察し、生細胞内におけるナノスケールの世界を理解できます。 グーグルの「ストリートビュー」に似た新しいツールキットにより、研究者はサブ細胞の「ライブトラフィック」の詳細に「ドロップダウン」して観察できます。また、生命科学の複雑性を解き明かし、健康上の問題を危険な状態になる前に検知可能です。

Brant Gibson教授

ロイヤルメルボルン工科大学
メルボルン、オーストラリア

Karthik Mallilankaraman博士

Yong Loo Lin医科大学
シンガポール国立大学

 Brant Gibson教授

略歴

Gibson教授は、2004年にラ・トローブ大学で博士号を取得しました。 2005年~2009年には、量子通信ビクトリア(QCV)のフォトニクス開発エンジニアを務め、同僚とともにオーストラリア初の商業的量子セキュリティ製品(QCV SPS 1.01)を設計・開発しました。 2011年には、次世代センシング、バイオ診断、量子デバイス用のハイブリッドダイヤモンド材料に関して、オーストラリア研究評議会(ARC)未来研究奨励金を授与されました。 Gibson教授は、 ナノスケール・バイオフォトニクスARCセンター・オブ・エクセレンスの副学部長補佐(物理学、ロイヤルメルボルン工科大学)、副部長、RMITノードリーダー、ならびにロイヤルメルボルン工科大学Sir Lawrence Wackett防衛センターの副所長を兼任しています。 Gibson教授の研究における興味は広範囲にわたり、ダイヤモンド、蛍光ナノプローブ、バンドギャップの大きな材料、単一光子源、量子センサー、ハイブリッドナノ材料統合、ファイバー光学、フォトニクス、バイオフォトニクス、光学・共焦点・原子間力の顕微鏡法などがあります。また、100を超える査読済みジャーナル論文を発表しています。

要旨

ナノスケール・バイオフォトニクス:マルチモードイメージングを用いた体内作用の理解

光ベースのイメージングとセンシングのツールを使用することで、生体内細胞の内部および周辺で生じる複雑な化学的プロセスと分子プロセスを理解できます[1]。 蛍光ナノダイヤモンド(ND)は、独自のさまざまな特性を有する魅力的なナノスケールツールであり、バイオイメージングとバイオセンシングの用途に最適です[2]。 その蛍光は、ダイヤモンド結晶格子内部において、負の電荷を持つ窒素空孔中心など、原子欠陥の光学励起を通じて生じます。 蛍光ナノダイヤモンドが有する特性には、長波長発光、高輝度、光退色なし、光ブリンキングなし、ナノメートルサイズ、磁場およびマイクロ波場への室温感度、化学分解への優れた耐性などがあります。蛍光ナノダイヤモンドは、ほぼ理想的な蛍光バイオイメージング・ナノプローブといえます[3]。 今回、面白い特性を詳しく説明します。また、蛍光特性に対する表面機能性の効果[4]、pHに対する蛍光プローブとしての使用[5]、生体系における過酸化水素センシング[6]、生体培地におけるナノダイヤモンド蛍光およびコロイド特性に対する粒子サイズの効果[7]について、いくつか例を挙げる予定です。 蛍光ナノダイヤモンドをポリカプロラクトン[8]およびシルク[9]のエレクトロスピニング材料へ組み込むなど、ハイブリッド・バイオセンシング用途についても説明します。

 Karthik Mallilankaraman博士

略歴

Karthik Mallilankaraman博士は、 インドのマドラス大学で医用マイクロ生物学の博士号を取得しました。 フィラデルフィアのペンシルベニア大学に移り、David Weiner教授とともに、チクングニアウイルスに対するDNAワクチンの開発において、博士研究員の特別研究過程を修了しました。 その後、フィラデルフィアのテンプル大学に移り、ミトコンドリア・カルシウム・ユニポーターの研究を行いました。ユニポーターの調節サブユニットMCUR1を同定し、ユニポーターのゲートキーパー機能を発見しました。ミトコンドリアのカルシウム取り込みにおける設定値が確立されました。 貢献に対し、生物物理学会から2013 Young Bioenergeticist賞を受賞しました。 ミトコンドリア基質のカルシウム調節をさらに理解するために、ペンシルベニア大学(Foskettラボ)に戻り、ミトコンドリア・カルシウム・ユニポーターの調節機構に取り組みました。 Mallilankaraman博士は、 2015年にシンガポールに移り、シンガポール国立大学のYLL医学校の生理学部で、自身の独立研究グループを始動させました。

要旨

ミトコンドリア・カルシウム・ユニポーター複合体の複合調節

真核生物における細胞呼吸は、好気性と嫌気性の両方で生じますが、エネルギーの大部分は嫌気性呼吸に由来します。 好気性フェーズは、ミトコンドリアと呼ばれる小器官の内部において、クレブス回路と電子伝達系という2つの段階で生じます。ミトコンドリアは細胞の「発電所」と称されることがあります。小器官が、細胞で供給されるほとんどのアデノシン三リン酸(ATP)を生成しているためです。 興味深いことに、好気性呼吸は重要なセカンド・メッセンジャー・カルシウムによって調節されます。 ミトコンドリア基質のカルシウムは、クレブス回路と電子伝達系の両方で補因子として機能します。

今回の話では、カルシウムがどのようにミトコンドリア基質に入っていくのかに焦点を当てます。カルシウムは、ミトコンドリア内膜に埋め込まれた状態の厳密に調節されたイオンチャンネルを通っていきます。 ミトコンドリア・カルシウム・ユニポーター(MCU)は、ミトコンドリア内膜(IMM)に局在しているCa2+選択的イオンチャンネルであり、細胞質からミトコンドリア基質へのCa2+の取り込みを介在して、代謝、細胞死、細胞質のCa2+信号伝達を調節します。 ミトコンドリアのCa2+ユニポーターは、細孔形成サブユニットMCUと、MICU1、MICU2、MCUR1、EMREなどの付属タンパク質を含むタンパク質複合体です。 私たちは、ユニポーターの正の調節因子であるMCUR1を発見しただけでなく、MCUをゲートキープする際のMICU1の役割についても発見しました。 MCUR1が喪失すると、ミトコンドリアのカルシウム取り込みがなくなり、ATP生成が鈍ることで、AMPKの介在する生存促進オートファジーが活性化します。 しかし、MICU1が喪失すると、構成MCUの活性化につながり、細胞質の[Ca2+]が低濃度の場合にミトコンドリアの[Ca2+]取り込みが増加し、ミトコンドリアの[Ca2+]が過負荷になります。 ユニポーターの透過性を外部フリーCa2+しきい値の1~3 µM未満に抑制し、基本条件下においてミトコンドリアのCa2+過負荷を防止するゲートキープ機能がMICU1にあることを、私たちは初めてin situによって示しました。 MICU1の局在性に関しては議論がある一方、私たちの最近の研究を含む大多数の研究では、膜間のスペースにMICU1とMICU2が局在していることが示唆されています。 そのため、ミトコンドリアは、低Ca2+条件下でのCa2+喪失と、通常安静条件下でのCa2+過負荷の両方に対して保護されています。IMS側におけるIMM、MICU1、MICU2の両側にあるCa2+と、ユニポーター複合体の未知の基質Ca2+センシングコンポーネントを有する特有の分子複合体によってミトコンドリアが保護されます。

Shaoling Qi

Olympus China

Bin Guan博士

農学生物学部
上海交通大学

Shaoling Qi

略歴

Shaoling Qi氏は、Olympus Chinaライフサイエンスの上級プロダクトマネージャーを務めています。 2009年に清華大学ライフサイエンス学部で修士号を取得した後、すぐにオリンパス・ライフサイエンスにアプリケーションスペシャリストとして加わりました。 Shaoling Qi氏は、長年にわたり先進の顕微鏡法における実地経験やアプリケーション知識を積み重ねてきたことを活かし、科学者の研究目標をサポートし前進させるためのイメージングソリューションの特定と適用を支援しています。 現在は、中国でカスタマイズ事業を担当し、共焦点、多光子、超解像技術などのハイエンドイメージングシステムに関して、ライフサイエンス製品の管理、マーケティング、販売支援を行っています。

要旨

オリンパスのIXplore SpinSRシステムを用いた生細胞における見事なディテール

生細胞の超解像イメージングは、ライフサイエンス、臨床研究、再生医療研究において、成長しつつあるアプリケーショントレンドになっています。 しかし、空間分解能、時間分解能、光毒性の間で常にトレードオフがあるため、細胞内における微細構造の動態を詳細に調べることは非常に困難です。 課題を克服するために、当社はハードウェアとソフトウェアの両面でのソリューションを開発してきました。 このセッションでは、オリンパスのIXplore SpinSRシステムによって、速度、感度、分解能が結び付き、生細胞に対応可能な超解像イメージングが実現する仕組みについて説明します。 オリンパスのIXplore SpinSRシステムが効果を発揮した応用例についても、いくつかご紹介します。

 Bin Guan博士

略歴

Bin Guan博士は、 上海交通大学・農学生物学部の博士研究員を務めています。 Bin Guan博士は、2021年に中国科学院(CAS)のCAS Center for Excellence in Molecular Plant Sciences、National Key Laboratory of Plant Molecular Geneticsで遺伝学の博士号を取得しました。 研究対象には、リン脂質やオートファジーなどがあります。

要旨

汎用合成抗生物質のミトコンドリア再配置:がん治療への非遺伝毒性アプローチ

相分離は、動植物におけるさまざまな生理学的プロセスおよび信号伝達プロセスで重要な役割を果たしています。比較的独立した空間ドメインが形成されることで、分子が選択的に濃縮され、特有の構造が形成されます。 オートファジーは、真核性細胞における高度に制御された劣化メカニズムであり、濃縮液を劣化させることがわかっています。プレオートオートファゴソーム構造体(PAS)も液-液相分離され、オートファゴソーム形成が調節されます。 ユビキチン様タンパク質ATG8は、オートファゴソームの改変や、オートファゴソームに特異的なカーゴの漸加において中心的役割を果たします。しかし、ATG8が相分離されて、オートファゴソーム生合成が調節されるかどうかは明らかではありません。 この研究では、組織的細胞学観察により、シロイヌナズナATG8eが、in vivoおよびin vitroにおいて相分離可能であること、また、N末端における天然変性領域(IDR)が相分離形成に関与していることが明らかになりました。 相分離インヒビターの投与と遺伝物質の観察により、ATG8eの液-液相分離が、オートファジーで重要な役割を果たすことが示唆されています。 詳細な研究では、オートファジー関連タンパク質ATG3がATG8eの相分離を高める一方で、オートファジーを促進することが示されています。 興味深いことに、酵母と哺乳類におけるATG8eの相同体、Atg8およびLC3(3つのメンバー)のN末端領域(IDRでもあります)は、哺乳類LC3と酵母Atg8の間で相分離が存在する可能性があること、また、相分離が哺乳類細胞におけるオートファジー調節に関与していることを示唆しています。 本研究は、オートファジーにおける相分離の存在と重要性を実証するものであり、オートファジーの分子制御メカニズムに関する詳細研究に対して重要な手がかりとなります。

Jong Seung Kim教授

化学部
高麗大学

Xueliang Zhu博士

上海生化学細胞生物学研究所
中国科学院

 Jong Seung Kim教授

略歴

Jong Seung Kim教授は、1993年にテキサス工科大学の化学生化学部で博士号を取得しました。 ヒューストン大学でも1年間、博士研究員の研究経験があります。 現在は、ソウルで高麗大学・化学部の正教授を務めています。 2014年から、韓国科学技術院の一員となっています。 一流ジャーナルでh指数104の論文をおよそ530本発表しています。 研究対象は、薬物送達における有機化学の適用、アルツハイマー病や悪性腫瘍などさまざまな病理のセラノスティクス、およびそれらの超解像イメージングです。 2014年からは高被引用研究者としても有名です。

要旨

汎用合成抗生物質のミトコンドリア再配置:がん治療への非遺伝毒性アプローチ

治療で誘発された核DNA損傷を原因とする腫瘍の再発は、がん治療における主要な問題です。 現在、非遺伝毒性の可能性ありとされる薬剤はほんの数例しか報告されていません。 Kim博士は、 最も処方されている合成抗生物質の1つであるシプロフロキサシンのミトコンドリア再局在化などのリードとなった新しいアプローチについて説明します。 シプロフロキサシンをトリフェニルホスホニウム基(リードMt-CFXを与える)にリンクするなど、合理的に設計された共役結合戦略は、ミトコンドリアのがん細胞においてシプロフロキサシン濃度強化に用いられます。 ここで提示されている局在化の根拠となるものは、蛍光プローブを有するMt-CFXの類似体です。 ミトコンドリアへMt-CFXを局在化させると、mtDNAや脂質のタンパク質に酸化損傷を誘発します。 Mt-CFXの場合、nDNAよりもmtDNAへ大きな選択的バイアスが見られましたが、従来のがん化学療法では治療と正反対の結果が得られました。 Mt-CFXは、異種移植マウスモデルにおいて、がん増殖を統計上有意に抑制することがわかりました。 遺伝的に良い耐性があることも実証されました。 このような結果から、Kim博士と 同僚らは、抗生物質のミトコンドリア再局在は、ミトコンドリアが介在する酸化損傷の選択的誘発を通じて、細胞死を促進する制がんリードを生むための有用なアプローチとして浮上する可能性があると示唆しました。

 Xueliang Zhu博士

略歴

Xueliang Zhu博士は、 中国科学技術大学生物学部で、1985年学士号、1988年修士号を取得し、助講師を務めています。 サンディエゴのカリフォルニア大学とサンアントニオのテキサス健康科学センター生物学研究所に進み、学位論文のため共同大学院生となり(1990~1994)、中国科学院(CAS)上海細胞生物学研究所から博士号を取得しました(1995)。 CAS上海ライフサイエンス研究センターで博士研究員として研鑽(1995~1997)を積んだ後、同センターで研究室代表となりました。 1999年、上海生化学細胞生物学研究所に移りました。 細胞生物学者であり、細胞骨格に依存するサブ細胞構造および機能が主な研究対象です。

要旨

高品質、高速、強力:細胞骨格関連活動における蛍光イメージング

時間空間分解能は、サブ細胞構造またはその動的活動において主要な制限ファクターです。 例えば、繊毛は約250 nm径ですが、エレガントな超微細構造と双方向鞭毛内輸送(IFT)機構を持ち、細胞体からのタンパク質輸入と細胞体へのタンパク質輸出に不可欠です。 さらに、運動毛はすばやく波打ことができ(10 Hz以上)、細胞当たり何百と存在します。 この発表では、Zhu博士が、 最先端の蛍光顕微鏡にも匹敵する研究の中で同僚とともに達成したイメージング経験を共有します。

Mitsuru Araki氏

Olympus China

Srivats Hariharan

Olympus Singapore

Mitsuru Araki氏

略歴

Mitsuru Araki氏は、 Olympus Chinaのセールスサポート部の副本部長を務めています。 東北大学応用物理学の学士号を持っています。 2009年にオリンパスに技術サービスエンジニアとして加わりました。 2012年、Olympus Indiaに異動し、顕微鏡事業のための技術サービスチームを立ち上げました。 2015年、日本に戻って、中国ライフサイエンス市場向けの、イメージングソフトウェアのプロダクトマネージャーおよびセールスサポートのポジションに就いています。 2020年、Olympus Chinaに異動し、現在はライフサイエンス製品のマーケティングとセールスサポートを担当しています。

要旨

ライブデモ:オリンパスのIXplore™ SpinシステムおよびcellFRAP Moduleを用いた高速・厳密・柔軟なフォトマニピュレーション

フォトマニピュレーションは、生細胞でのタンパク質ダイナミクスを研究するために、FRAP、FLIP、光活性化、放出などのさまざまなイメージング技法にとって 必要不可欠の要素です。 例えば、FRAPにおいては、蛍光色素または蛍光標識したタンパク質の特定領域が細胞内で退色した後に、蛍光の回復を観察してターゲットの流動性を調べます。 これらのイメージング技法はさまざまな応用分野で採用されていますが、ダイナミックに動き回る生きた細胞において、正確にターゲットを刺激することは、いまだに課題です。 オリンパスのIXplore Spinシステムならば、高速の共焦点イメージングが得られ、またcellFRAPモジュールを使用すると、正確、高速、柔軟な光刺激が可能になります。 このセッションでは、FRAP実験向けのIXplore SpinとcellFRAPの組み合わせのメリットを、デモでご覧に入れる予定です。

 Srivats Hariharan

略歴

Srivats Hariharan 氏は、Olympus Asia-Pacific(APAC)地域のアプリケーションおよびマーケティング・マネージャーを務めています。 シンガポールの南洋理工大学で機械工学の学士号を取っています。 生物医学研究ラボおよび、A*STAR Microscopy Core Facilityでの勤務経験があり、共焦点および生細胞イメージング技術に関して研究者を支援し、単一分子超解像およびライトシート顕微鏡の設定支援を行いました。 2011年にOlympus Singaporeのライフサイエンスチームに、プロダクトマネージャーとして加わり、東南アジアと台湾における研究取引先と事業パートナーのサポートを担当しています。 現在は、APACにおけるライフサイエンス・マーケティング関連活動全般に携わっています。

要旨

ライブデモ:オリンパスFLUOVIEW™ FV3000近赤外共焦点レーザースキャン顕微鏡

オリンパスFVMPE-RSシステムなどの二光子励起顕微鏡は長い間、深部イメージング用に理想的な選択であると見られてきました。固定標本や生きた生物学的標本において、赤外レーザーを使用するため散乱が少なく、光退色や光毒性が著しく抑えられるからです。 しかし、単一光子システムに対する需要は大きくなっています。例えばFV3000レーザー走査共焦点顕微鏡では、近赤外(NIR)が使用可能で、蛍光マルチプレックス、深部イメージング、生細胞イメージングに対応します。 オリンパスの先進のX LineおよびA Line対物レンズと組み合わせたNIRイメージングを用いると、生物学的検体の内部深くにおける、明瞭で高解像度な画像が得られます。 有機色素と蛍光タンパク質には、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor750、Alexa Fluor790、iRFPなどがありますが、可視範囲において、標準マーカーを併用して簡単に撮像ができます。 このセッションでは、NIRイメージング用のオリンパスFV3000顕微鏡のセットアップおよび使用の方法についてデモを行う予定です。

Guo Lin

Olympus Singapore

Guo Lin

略歴

Lin博士 は、生物物理学研究に取り組み、2010年、シンガポール大学から博士号を取得しました。 2009年、レーザーベースのハイエンドイメージングシステム向け技術・アプリケーション専門家としてオリンパスに加わりました。 2012年、Lin博士は中国へ戻ることにし、科学用カメラメーカーの1つで業界をリードしているPhotometricsでのポジションに就きました。 そこでアプリケーション専門家となり、後には地域セールスマネージャー、最終的にアジア太平洋地域の科学セールスマネージャーになりました。 2021年にシンガポールに戻り、製品およびアプリケーションマネージャーとしてOlympus Singaporeに加わりました。 さまざまなカメラ技術などの、多様な科学デジタルイメージング技術と共に、幅広い経験を持っています。

要旨

ライブデモ:オリンパスFLUOVIEW™ FV3000近赤外共焦点レーザースキャン顕微鏡

オリンパスFVMPE-RSシステムなどの二光子励起顕微鏡は長い間、深部イメージング用に理想的な選択であると見られてきました。固定標本や生きた生物学的標本において、赤外レーザーを使用するため散乱が少なく、光退色や光毒性が著しく抑えられるからです。 しかし、単一光子システムに対する需要は大きくなっています。例えばFV3000レーザー走査共焦点顕微鏡では、近赤外(NIR)が使用可能で、蛍光マルチプレックス、深部イメージング、生細胞イメージングに対応します。 オリンパスの先進のX LineおよびA Line対物レンズと組み合わせたNIRイメージングを用いると、生物学的検体の内部深くにおける、明瞭で高解像度な画像が得られます。 有機色素と蛍光タンパク質には、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor750、Alexa Fluor790、iRFPなどがありますが、可視範囲において、標準マーカーを併用して簡単に撮像ができます。 このセッションでは、NIRイメージング用のオリンパスFV3000顕微鏡のセットアップおよび使用の方法についてデモを行う予定です。

オリンパス・バイオイメージング・カンファレンス:新次元の探索 | 3日間のバーチャルイベント | 2022年3月9日~11日2024年4月24日
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