2月は短い月ですが、美しい画像が満載の月でもありました。AからZまで - 藻類(Algae)から動物性プランクトン(Zooplankton)まで - 人気ランキング上位の画像をご紹介します。
今月の上位人気画像は、Håkan Kvarnström氏による新シリーズ「Exploring the Microscopic World with X Line Objectives(X Line対物レンズによる顕微鏡の世界の探索)」の第2弾です。
ボツリオコッカス・ブラウニーは微細藻類の一種で、大量の油分を産生することで知られています。この画像では、輪郭の周囲に油滴を見ることができます。水分が蒸発しカバースリップが標本を押すにつれ、標本から油分が絞り出されたのです。
この深度合成された画像を撮影するため、Håkan氏は、開口数(NA)1.42の60倍油浸X Line対物レンズ(UPLXAPO60XO)を使用しました。微分干渉コントラスト(DIC)設定の意図的なミスアライメントを利用して擬色効果を生み出しています。
「60倍X Line対物レンズは、私が持っている他の対物レンズでは見ることが難しかった細部を解像する能力を与えてくれました。このレンズは作動距離もかなり長いので、シャープネスと解像力を損ねることなく厚い標本を撮影することができます」と彼は言います。
DICイメージングについてさらに詳しく学ぶには、来月の画像も是非お見逃しなく!
60倍X Line対物レンズを使用してDICで撮影されました。画像提供:Håkan Kvarnström氏。
珪質鞭毛藻は、そのライフサイクルの中で、内部バスケットを形成するためのバーとスパイクのネットワークで構成された珪質骨格を作ります。微化石として知られるこれらの骨格は、海成堆積物の珪質成分を1~2%含んでいます。これらの生物は、1億2000万年前の白亜紀に出現し、2500万年前の中新世に最も繁栄し、多様化しました。
説明文および画像提供:Håkan Kvarnström氏。
大きいことは必ずしも良いとは限りません。特に顕微鏡観察においては!この一連の画像は、オリンパスの光学系およびAbbelightの画期的な単一分子局在顕微鏡(SMLM)技術を用いてナノスケールで構造と動態を明らかにする方法を示しています。※1
画像左から右:
β2-スペクトリン/αアクチニンおよびAF647結合二次抗体に対して染色された培養海馬ニューロンの3D dSTORM画像。標本および画像提供:C. Leterrier氏(Neurocytolab、マルセイユ)。NA1.49のTIRF対物レンズを装着したオリンパスIX83倒立顕微鏡に取り付けたAbbelight SAFe360で行ったイメージング。
HeLa細胞、微小管(αTubulin抗体) + アクチン(ファロイジン)、3D dSTORM。画像提供:Abbelight社。※2
マウスの胚性筋芽細胞、ファロイジンAF647で染色され、3D dSTORMで撮影されたアクチン細胞骨格。標本提供:Haniaa Segard氏(Bourdoulous研究チーム、Institut Cochin、パリ)。Abbelight社で撮影。
HeLa細胞、微小管、αTubulin抗体、3D dSTORM。画像提供:Abbelight社。※2
※1 Abbelight社の製品は2021年3月時点では米国およびカナダのみで販売されています。
※2 HeLa細胞は医学研究で最も重要な細胞株の一つで、科学の発展に偉大な貢献をしました。しかし、この細胞の元となったヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)さんの同意が得られていなかった事実を認識しなければなりません。HeLa細胞の使用は、免疫学や、感染症学、癌研究などにおける重要な発見に貢献しましたが、同時に医学における個人情報保護や倫理についての重要な議論も引き起こしました。
ヘンリエッタ・ラックスさんの生涯と現代医学への貢献における詳細は、以下にアクセスしてご覧ください。
http://henriettalacksfoundation.org/
特筆すべき再生特性を持つことで知られるこの原生動物は、元の大きさの100分の1ほどの断片から、完全な生物に再生することができます!
画像提供:Wim van Egmond氏。
知っていましたか?花をつけないこの常緑多年草のトクサの起源は、約3億5000万年前の古生代に遡ります。竹のように上下方向の緑茎と左右方向の節を持ち、シダのように、種ではなく胞子から繁殖します。ところが、トクサは竹などのイネ科植物でもシダの仲間でもありません。
標本:隠花性常緑多年草、トクサ(Equisetum hyemale)の断面。
画像提供:Karl Gaff氏。
顕微鏡科学者たちが力を発揮する場となり、世界中から届けられる素晴らしい作品を誰もが観ることのできるインスタグラムテイクオーバーを、私たちはいつも楽しみにしています。今月は、Gabrielle Corradino氏がプランクトンへの情熱を私たちに見せてくれています。下に、彼女が撮影した2枚の動物性プランクトンの画像を紹介します。
「動物性プランクトンとは何でしょうか?動物性プランクトンは、動物のようなプランクトンで、水柱の中で食料を捕まえなければなりません。水柱というのは、水面から堆積物までの水域です。日中は、捕食者を避けるため、深い水域にいます。夜になると、この微生物は餌を漁るために水面に出て来ます。これは、地球上で最も大規模な移動と言えます。@NASAの画像で、宇宙から見たこの大移動をご覧ください!
動物性プランクトンの多くの種は、顕微鏡を使用しなくても見ることができ、水柱の周囲に群がる小さな点のように見えます。網(プランクトンネット)でよく捕らえられるものの中には、オキアミ類(あのオキアミです!)やカイアシ類がいます。これらの生物は南北極から温暖な熱帯までの幅広い範囲に見られます。」
Corradino氏の研究についてさらに知るには、インタビューをご覧ください。
画像および説明文提供:Gabrielle Corradino氏。
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好奇心に繋げる - Gabrielle Corradino先生のインタビュー