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ラボ内にいる時間を短くして長時間のライブセルイメージングを達成する4つのヒント

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ライブセルイメージング

研究機関がラボで過ごす時間を制限して、ソーシャルディスタンシングを実践し、スタッフの安全を維持する中で、ライブセルイメージング時のタスクを自動化および合理化できることが、生産性を維持するためにかつてないほど重要になっています。

その上、機器を最適化し、想定外のラボへの再入室を避けるためには、留意することがたくさんあります。

ここでは考慮すべき4つのヒントについて説明します。

1. サンプルを温かい安定した環境で正常に維持。

ライブセルイメージング時の最も大きな問題の1つは、温かく快適な培養器の外、つまり顕微鏡のステージ上で、サンプルをどのように正常かつ通常の反応をする状態に保つかです。

これは難しい問題かもしれませんが、細胞にとって安定した温度、湿度、CO2濃度を提供する、顕微鏡用ステージトップ培養装置または保温箱を使用すれば、サンプルを可能な限り快適に保つことができます。

また、対物レンズを温めるのを忘れないでください。サンプルに対して対物レンズが冷たくなってしまう際のよくある原因であり、サンプルの正常性を害する可能性があります。

さらに留意すべきは、マイクロプレートの周辺部は中心部より環境変動のリスクが高い場合があるため、端のウェルを避けて中心のウェルを使用し、安定性を高めることです。 例えば、96ウェルプレート(12×8ウェル)を使用する場合、中心の60ウェル(10×6ウェル)のみを実験に使用します。

ライブセル用ステージトップ培養システム

図1: ステージトップ培養装置。

2. 安定した環境温度でフォーカスを改善。

考慮すべきもう一つの要素は室内温度で、少しの変動でもイメージングに影響する可能性があります。

ライブセルを高倍率で観察する場合、顕微鏡の環境温度の安定性は特に重要です。 高NA観察では被写界深度が浅いため、温度の変動による小さなZドリフトでもピントがずれる可能性があります。

環境を最適化するには、エアコンが作動していることと室温が安定していることを、実験の開始前に確認します。 また、エアコンの風が顕微鏡に直接当たらないようにして、安定性を高めてください。

3. フォーカスと補正環を正確に設定して画質を改善。

Zドリフトのような一時的なゆらぎに対処する別の方法としては、フォーカスと補正環を可能な限り正確に設定してライブセル実験を開始することが挙げられます。

研究者はピント調整を慎重に行っても、補正環を忘れがちです。 しかし、補正環を付けることで、特に深部組織の観察時や高NA対物レンズを使用する場合に、画質が大幅に向上します。

補正環の理想的な位置はさまざまな要素によって異なります。例えば、サンプルの屈折率、観察面の深さ、カバーガラスの厚さなどです。 ほとんどのガラスカバースリップとガラスボトムディッシュは厚さ170 µm(#1.5)ですが、異なる場合もあります。プラスチック容器ではこれらの値を推定することができません。

特にプラスチック製のマイクロプレートやディッシュを使用する場合は、画像コントラストを確認して、補正環を必ず正確に調整してください。

通常、補正環は現場で調整します。 多光子励起顕微鏡による深部観察など、補正環を事前に調整する必要がある実験の場合、ラボでの作業時間が多くなります。 これに関しては、便利な電動補正環を使用して自動的に調整できます。

 球面収差補正用の顕微鏡対物レンズ

図2: カバーグラス厚さのインジケーター付き対物レンズに装着された補正環。

深部イメージング用電動レンズシステムの詳細については、ブログ多光子観察法における深部画像イメージング向上方法をご覧ください。

4. サンプルにピントを合わせ続ける専用フォーカスモジュールを使用。

Zドリフトが発生したらどうなるでしょうか。

上記のことをすべて行っても、画像のピントがずれる場合があります。 Zドリフトの発生要素が多いからです。 試薬の追加など、積極的で意図的な変更による場合もあれば、部屋の中を誰かが歩く場合や、環境温度の変化による物理的な振動も原因になります。

また、ほとんどの電動顕微鏡には画像コントラストに基づくオートフォーカス機能が備わっていますが、以下の制限事項があります。

  • 調整機能の範囲制限
  • コントラストに基づくフォーカス用の励起光によって光毒性反応が発生

ライブセル実験時のフォーカシングに役立つのは、オリンパスのTruFocus近赤外(NIR)レーザーベースZドリフトコンペンセーターなどの専用フォーカシングモジュールを使用する方法です。 NIR光には、長時間観察時の光毒性反応とイメージング波長のクロストークを低減させる作用もあります。

モジュールのワンショットオートフォーカス(AF)モードは、不要な照明をなくすことができる一方で、連続AFモードは、ライブ観察や高速現象の連続画像取得に使用できます。

ライブセルイメージング用のZドリフトコンペンセーター

図3: オリンパスのTruFocus Zドリフトコンペンセーターを使用して、サンプルにピントを維持し続けます。

長期イメージングにおけるZドリフトコンペンセーターの仕組みは、以下の短いビデオで見ることができます。

効率的なライブセル実験を行って生産性を維持

すべきことが常にある中で、ここに挙げたヒントが生産性の維持、長期ライブセルイメージングの実施、科学研究の継続に役立つことを願っています。 ラボ自動化のご質問については、お気軽にこちらまでご連絡ください

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シニアプロダクト・戦略プランナー、プロダクトマネージャー

小蒲健夫氏はEvidentのシニアプロダクト・戦略プランナーであり、顕微鏡カメラのプロダクトマネージャーも務めています。カメラを含むさまざまな製品の研究・開発部門で8年、製品計画、マーケティング、マネジメントで8年の経験を有しています。大阪大学でニュートリノ物理学の修士号を取得。

2020年9月15日
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