毎年世界のもっとも革新的な製品・技術、およびビジネスリーダーに贈られるEdison Award 2020にて金賞を受賞した「X Line」は、2019年の発売以降、「X Line」はオリンパスのライフサイエンス分野向け対物レンズシリーズの最上位機種であり、当社のシステム顕微鏡でキーデバイスの役割を果たしています。さらに、「X Line」は、オリンパス以外で設計される多数の最新の装置にも組み込まれています。
その一例が、PicoQuant社の共焦点顕微鏡システムです。
PicoQuant社は、ピコ秒ダイオードレーザヘッドや時間分解の光学機器、単一光子計数装置、蛍光寿命イメージングなどの高性能イメージング装置を開発・製造している企業です。同社は、生物学や医学、環境科学、化学分野の研究者をサポートする、使い易く、お求め易い価格のシステムを開発しています。
PicoQuant社は、オリンパスとの長年にわたる協業の一環として、当社のIX倒立顕微鏡とともに、高性能対物レンズシリーズ「X Line」も同社の時間分割共焦点顕微鏡“MicroTime 200”に組み込んでテストをしました。このシステム(図1)は、一分子レベルでの検出能とピコ秒の時間分解能を備えています。
図1. PicoQuant社のMicroTime 200時間分解共焦点顕微鏡は、最先端の科学研究に役立つ一分子レベルでの検出能を備えています。
「X Line」が高性能なイメージングシステムの性能を向上させる仕組み
高性能対物レンズシリーズ「X Line」は、3つの重要なパラメーターであるNA(開口数)、画像のフラットネス、色収差補正を同時に向上させることによって、高性能な顕微鏡システムに独自のメリットをもたらします。従来の対物レンズでは、これらのパラメーターの1つを向上させると他の2つが悪化するということがよくありましたが、新たに開発したオリンパス独自のレンズ製造技術(図2)により、このようなトレードオフはもはや過去のものとなっています。
図2. オリンパスの「X Line」なら、NA(開口数)、画像のフラットネス、色収差補正を同時に向上させることが可能です。
PicoQuant社の上級研究者であるMarcelle König博士は、「X Line」の性能が同社の共焦点顕微鏡設計にどのようなメリットをもたらしているか説明してくださいました。
「当社のお客様にとってキーとなる技術は、パルス交替励起(PIE)です。これは様々な波長の同期したパルスレーザーを使用するため、色ずれを防ぐことが大切です。X Lineをテストするため、485nm(青)と640nm(赤)のレーザーで励起した蛍光ビーズを観察しました。PIE法で測定し、同時に確認した色ずれの結果は非常に良いものでした。つまり、この新しい対物レンズは、3次元のすべてにおいてずれを防ぐという点で、間違いなく他よりも優れています。」とKönig博士は語っています。
同博士は続けて、「NA(開口数)の向上も利点が大きいです。なぜなら、MicroTime 200は一分子レベルでの検出能を持っているため、サンプルから得られる光子の数が多くなるほど好都合なのです。良い例が、蛍光共鳴エネルギー移動、つまりFRETです。これは生物学における卓越した技術であり、PIE法は1分子FRET研究に大いに役立ちます。」と語っています。
テストで良い結果が得られ、PicoQuant社は正式に、同社のMicroTime 200システムにオリンパスの「X Line」レンズを採用しました。このアプリケーションに最もよく使用されている対物レンズは、NA(開口数)が1.45の100倍油浸対物レンズ(UPLXAPO100XO)です(図3)。
図3. オリンパスのX Line 100倍油浸対物レンズ
協業によって科学を発展させる
König博士は、オリンパスとPicoQuant社とのゆるがない協業関係にも触れています。
「当社には、オリンパスとの協業というとても良い経験があります。実際に、PicoQuantとオリンパスは18年にわたって協力し続けています。私は自信を持ってオリンパスをお勧めします。私も同僚たちも、この協業にとても満足しています。」と同博士は語っています。
貴社の顕微鏡設計に組み込むオリンパスの高品質な光学コンポーネントについてもっとお知りになりたい方は、www.olympus-lifescience.com/oem-componentsをご覧ください。
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