細胞周期マーカー"Fucci"による幹細胞生理状態の可視化

CD133 陽性の胃がん幹細胞(細胞周期マーカー Fucci発現)のスフェロイドを長時間連続で観察した。上のスフェロイドは、血清を抜いた状態で培養しており、細胞周期が止まっていることから、幹細胞性を維持していることがわかる。一方、下のスフェロイドは、血清を加え培養したもので、血清により細胞分裂が起こり、スフェロイドから単層培養へ戻る、すなわち幹細胞の状態を失うことが示唆される。共焦点レーザ顕微鏡FV10iは厚みのあるスフェロイドを立体的に観察することが可能である。※レーザ顕微鏡FV10iで48時間連続撮影。

画像データのご提供:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野
矢野 修也先生、藤原 俊義先生
参照論文:
Yano S, Tazawa H, Hashimoto Y, Shirakawa Y, Kuroda S, Nishizaki M, Kishimoto H, Uno F, Nagasaka T, Urata Y, Kagawa S, Hoffman RM, Fujiwara T. A genetically engineered oncolytic adenovirus decoys and lethally traps quiescent cancer stem-like cells into S/G2/M-phases. Clin Cancer Res. December 1, 2013 19:6495-6505.
 

テロメライシン(Telomelysin、OBP-301)による休眠癌幹細胞の活性化と細胞破壊

スフェロイド培養(三次元培養)したCD133 陽性の胃がん幹細胞(細胞周期マーカー Fucci発現)へ、テロメライシン(OBP-301)、シスプラチン、放射線、それぞれの処理を行った。 シスプラチンや放射線では癌細胞塊の大きさは変わらず、ほとんどの細胞はG1 期(赤色)で止まっているが、 テロメライシンを投与された癌細胞塊では、表面から細胞は黄色や緑に変わり、徐々に癌細胞塊のサイズが減少していく様子がわかる。「テロメライシン」は胃がん幹細胞の細胞周期を止めているp53 やp21 の発現を抑え、逆に細胞周期を回転させるE2F-1 の発現を上げることが示唆される。※レーザ顕微鏡FV10iで8日間連続撮影。

画像データのご提供:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野
矢野 修也先生、藤原 俊義先生
参照論文:
Yano S, Tazawa H, Hashimoto Y, Shirakawa Y, Kuroda S, Nishizaki M, Kishimoto H, Uno F, Nagasaka T, Urata Y, Kagawa S, Hoffman RM, Fujiwara T. A genetically engineered oncolytic adenovirus decoys and lethally traps quiescent cancer stem-like cells into S/G2/M-phases. Clin Cancer Res. December 1, 2013 19:6495-6505.
 

Fucciを導入したHT29細胞のスフェロイドイメージング

画像データのご提供:
公益財団法人がん研究会がん化学療法センター
臨床部 三嶋 雄二先生、畠 清彦先生
 

積層化された筋芽細胞シート内での繊維芽細胞の挙動

画像データのご提供:
大阪大学大学院工学研究科 生命先端工学専攻 生物学コース 生物プロセスシステム工学研究室
長森 英二先生、 紀ノ岡 正博先生

ゼブラフィッシュの胚発生におけるレチノイン酸シグナリングの検出

画像データのご提供:
理化学研究所 脳科学総合研究センター 細胞機能探索技術開発チーム
下薗 哲先生、宮脇 敦史先生
参照論文:
Shimozono S. et al. Visualization of an endogenous retinoic acid gradient across embryonic development. Nature 496, 363-366 (18 April 2013)
 

抗体依存性細胞障害(ADCC)の観察

PMI4788細胞(ヒト大腸癌由来株化細胞)にセツキシマブ(抗体医薬)処理を行いNK細胞と共に培養。NK細胞添加後にFV10iにて抗体依存性細胞障害を観察。セツキシマブ:Alexa647(赤) NK細胞:ZsGreen(緑) 細胞死判定用:DAPI(青)

画像データのご提供:
公益財団法人がん研究会がん化学療法センター 臨床部
三嶋 雄二先生、畠 清彦先生。安部 隆史(オリンパス株式会社)が撮影。
 

抗がん剤シスプラチン濃度違いによる作用・効果の観察

Fucciを導入した大腸がん由来培養細胞株HT-29に抗がん剤 Cisplatinを投与し、細胞に与える影響を連続観察した。
35mmガラスボトムディッシュに継代培養した2日目の培養細胞に対しCisplatinを低濃度(0.25µg/ml)、高濃度(2.5µg/m)l、コントロール(0µg/ml)で各々投与した。

画像データのご提供:
公益財団法人がん研究会がん化学療法センター 臨床部
三嶋 雄二先生、畠 清彦先生
 

破骨細胞融合過程における
イノシトールリン脂質局在の解析

ドキシサイクリン添加によりイノシトールリン脂質結合ドメインを発現するRAW264.7細胞を樹立し、1µg/ml doxycyclineと10 ng/ml RANKL存在下で48h培養した後ライブ観察した。PtdIns(4,5)P2 の局在は赤で、PtdIns(3,4,5)P3の局在は緑で示す。 画像は2分ごと、34分に渡って取得した。

画像データのご提供:
北海道大学大学院医学研究科 生化学講座分子生物学分野 連携研究センター光バイオイメージング部門
及川 司先生
参照論文:
Oikawa T, et al. Tks5-dependent formation of circumferential podosomes/invadopodia mediates cell-cell fusion. J Cell Biol. 197(4):553-568(2012).

HeLa 細胞※1

染色: YFP (Actin)
対物レンズ: 60XW NA1.2
レーザー波長: 473nm
インターバル: 3.5 分毎 (トータル12時間)

マウス脳

DAPI (nuclei - blue), Alexa 488 (Actin - green), Alexa 568 (Neurofilament - red).
興味のある9箇所の異なる領域を、1024X1024の解像で、14枚以上のZセクションで自動取得し、FV10iのソフトウェアで構築。

HeLa 細胞※1

インターバル: 20 分毎 (一昼夜)
グリーン: GFP
マゼンタ: Mito Tracker Red

※1 HeLa細胞は医学研究で最も重要な細胞株の一つで、科学の発展に偉大な貢献をしました。しかし、この細胞の元となったヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)さんの同意が得られていなかった事実を認識しなければなりません。HeLa細胞の使用は、免疫学や、感染症学、癌研究などにおける重要な発見に貢献しましたが、同時に医学における個人情報保護や倫理についての重要な議論も引き起こしました。
ヘンリエッタ・ラックスさんの生涯と現代医学への貢献における詳細は、以下にアクセスしてご覧ください。
http://henriettalacksfoundation.org/