ある観点では、光は波のような性質を持つと考えられます。この場合の光は、静かな池の表面が投げ入れた石で乱され、さざ波が全体に広がっていくように、空間を進むエネルギーを生みます。別の観点では、光は絶え間なく流れる粒子で構成されると考えれられます。これは、庭の水やりホースのノズルからまかれる水の小さなしずくによく似ています。このインタラクティブチュートリアルでは、透明な面を通って屈折する粒子と波の振る舞いを探ります。
チュートリアルは、単色赤色光の粒子(光子)がガラス片の表面に約30度の入射角で当たることから始まります。ガラスに入射した粒子は、スネルの法則に従って屈折し、媒質内を線形に進みます。2番目のガラス/空気の界面(ガラス片の下部)に粒子が達すると、再び屈折して角度を付けて空中へと進みます。下部にある粒子/波のスライダーを使用すると、粒子ビームを平面的な波面に変えることができます。粒子は波になる前に、波の中に整列します。
クリスチャン・ホイヘンスは、自身の全知識を注いで1690年に発表した論文「Traité de la Lumière」の中で、空間を進む光波は、大気中と宇宙全体に存在する目に見えない謎の無重力物質エーテルに媒介される、と示しました。エーテルの探索には、最終的にその考えが葬られるまで、19世紀中に膨大な資源が消費されました。エーテル説は少なくとも1800年代終盤まで続きました。チャールズ・ホイートストンの提唱したモデルでは、エーテルが光伝播の方向に垂直に振動することで光波を運んでいると証明され、ジェームズ・クラーク・マクスウェルの精密なモデルでは、この目に見えない物質の構造が説明されました。 ホイヘンスは、エーテルが光と同じ方向に振動し、光波を運ぶ際にそれ自体が波を作り出すと信じていました。後に刊行された「ホイヘンスの原理」で、彼は波の各点がそれ自体のウェーブレットを生み、それらが合わさり波面を形成する仕組みを独創的に説明しました。ホイヘンスはこの考えを利用して屈折現象の詳細な理論を生み出したほか、光線が出会うときに互いに衝突しない理由も説明しました。
屈折率の異なる2つの媒質間を光線が移動する際、最初の媒質から2番目の媒質へと進むと光線が屈折し、方向を変えます。光線を構成するものが波か粒子かを判断するため、それぞれのモデルを考案して現象を説明することができます(図1)。ホイヘンスの波動説によると、傾斜した各波面のごく一部は、波面の残りの部分が界面に到達する前に2番目の媒質に当たります。波面の残りの部分が最初の媒質内を移動し続ける一方で、この部分は2番目の媒質内を移動し始めますが、2番目の媒質の方が高い屈折率を持つため、移動速度は遅くなります。波面が2つの異なる速度で進んでいるため、2番目の媒質へと曲がり、伝搬の角度が変化します。それに対して粒子説では、一方の媒質から別の媒質を通るときに光の粒子が方向を変える理由の説明がもっと難しくなります。この説の提唱者は、界面に垂直な方向に特別な力が働いて、2番目の媒質に入るときに粒子の速度が変化する、と説きます。この力の正確な性質は推論のままで、この説を証明する証拠は得られていません。
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