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Introduction to Laser Scanning Microscopes

レーザー走査型顕微鏡ではレーザー照明を使用し、1ポイントずつ走査することで、サンプルの高解像度・高コントラスト3D画像を生成します。 レーザー走査型顕微鏡の一般的な種類としては、共焦点レーザー走査型顕微鏡と多光子励起レーザー走査型顕微鏡の2つがあります。 どちらもレーザーを使用してサンプルを励起させている一方で、いくつか重要な相違点があります。 ここでは、共焦点レーザー走査型顕微鏡と多光子励起レーザー走査型顕微鏡の仕組み、用途、作成可能な画像の種類について説明します。

共焦点レーザー走査型顕微鏡

共焦点レーザー走査型顕微鏡

多光子励起レーザー走査型顕微鏡

多光子励起レーザー走査型顕微鏡

共焦点レーザー走査型顕微鏡の原理

共焦点レーザー走査型顕微鏡では、サンプルを照らす高輝度の励起光を作り出す、短波長の連続波(CW)レーザーを使用します。 このレーザーがダイクロイックミラーに反射した後、さらに2枚の鏡に反射し、染色されたサンプルを走査します。 レーザーで励起されたサンプル内の染料は蛍光を発し、放出された長波長光は、先ほど励起光の走査に使用された鏡によって光路を戻ります。 放出光はダイクロイックミラーを通り、ピンホールに集束されて、検出器で収集・測定されます。 検出器に接続されたコンピューターは、1ポイントずつデジタル3D画像を構築します。 ピンホールは焦点外の蛍光を遮断するため、作り出される画像は極めて詳細になります。 共焦点レーザー走査型顕微鏡の原理は、レーザーと検出器がどちらもサンプルの同じ点に焦点を合わせ、この点の位置を変えていき最終的にサンプルの完全な像を構築する、というものです。

多光子励起レーザー走査型顕微鏡の原理

多光子励起レーザー走査型顕微鏡は、共焦点レーザー走査型顕微鏡と非常に似た方法で機能します。 ただし、共焦点レーザー走査型顕微鏡では短波長可視レーザーを使用してサンプルを励起するのに対して、多光子励起レーザー走査型顕微鏡では、一光子励起に必要な波長の2倍長い波長で放射される、フェムト秒赤外(IR)パルスレーザーを使用します。 サンプル内の染料が2つの光子を同時に吸収すると、蛍光を発します。 この2光子吸収現象が発生するのは、光子密度が非常に高い焦点位置のみであり、その焦点位置にある染料のみが励起されて、蛍光を発することができます。 したがって、多光子レーザー走査型顕微鏡システムにはノンデスキャン検出器(NDD)があるため、焦点外の蛍光を遮断するピンホール開口を必要とせず、焦点位置の蛍光を効率的に検出できます。 この励起法を選択するのは、長い波長のレーザーが組織内部に深く浸透できるためです。これにより、生きている組織の数百マイクロメートルの深部を観察し、撮像することができます。 さらに、短波長可視レーザーより光毒性が低減します。 そのため、多光子励起レーザー走査型顕微鏡の方が、生きた動物の生細胞や組織のin vivo研究に適しています。

レーザー走査型顕微鏡の用途

共焦点レーザー走査型顕微鏡はさまざまな分野で大いに有益ですが、最も活用されているのは生物学研究分野です。 よく使用されるのは、細胞生物研究がん研究幹細胞研究です。細胞の緻密な3D画像を作り出す共焦点レーザー走査型顕微鏡の能力によるもので、研究者は対象サンプルの内部を観察できます。 このようなことが可能なのは、共焦点レーザー走査型顕微鏡では光学的に分光して、厚い組織標本の高解像度画像を生成できるためです。サンプルを物理的に切片化する必要はありません。 フェムト秒IRパルスレーザーが深くまで浸透するおかげで、多光子励起レーザー走査型顕微鏡は生きた動物のin vivoイメージングに最適です。 このことから、神経科学研究やがん研究によく使用されます。

レーザー走査型顕微鏡の長所と短所

レーザー走査型顕微鏡が細胞や生物組織の研究に欠かせなくなっているのは、標本を1ポイントずつ走査する能力によるところが大いにあります。 共焦点レーザー走査型顕微鏡の他の利点としては、細胞や組織を物理的に切片化しなくても、高解像度・高コントラストの3D画像を作成できることが挙げられます。

レーザー走査型顕微鏡がこのような高品質画像を生成できるのは、共焦点ピンホールによって焦点外の蛍光の遮断が効率的に行われていて、焦点の合う1ポイントのみが一度に検出器に収集されるためです。

まさに同じ理由で、サンプルの完全な3D画像のコンパイルには時間がかかる場合があります。 ただし、この処理を高速化する市販の機器に進歩が見られます。 従来のガルバノスキャンと比較すると、レゾナントスキャンは1秒あたり最大30フレームの高速イメージングが可能で、血流や細胞内のイオンフラックスなどの高速の動的イベントを観察できます。

レーザー走査型と スピニングディスク型

レーザー走査型と スピニングディスク型

レーザー走査型顕微鏡の1ポイントずつの収集能力を加速する技術進歩の一例として、スピニングディスクの導入があります。 スピニングディスク型共焦点顕微鏡は、焦点外の蛍光を遮断するピンホールの数に関係しています。 共焦点レーザー走査型顕微鏡では単一のピンホールを使用するのに対して、スピニングディスク型共焦点顕微鏡では数百ものピンホールのある不透明のディスクを使用し、高速で回転させています。 この仕組みにより、サンプル全体を1ポイントずつではなく一度にイメージングできます。 光損傷や光退色の低減にも役立ちます。

レーザー走査型顕微鏡の画像

前述のように、共焦点レーザー走査型顕微鏡で高解像度・高コントラストの画像が得られるのは、検出器に到達する前にピンホールで焦点外の蛍光を遮断することによります。 3D画像が作成されたら、観察者は特定のインスタンスを操り、内部を探索することさえできます。

レーザー走査型顕微鏡と 走査型電子顕微鏡

レーザー走査型顕微鏡と走査型電子顕微鏡は、名前は似ていますが、大きな違いはサンプルに対する照明の方法です。 レーザー走査型顕微鏡では励起レーザーを使用するのに対して、走査型電子顕微鏡では、名前が示すように電子ビームをサンプルに照射します。 サンプルの表面から反射した電子、つまり二次電子は、その形状や組成に関する信号を生成し、検出器で収集します。 走査型電子顕微鏡ではサンプルを真空中に置く必要があるため、生きたサンプルの観察には使用できません。

レーザー走査型顕微鏡の倍率

レーザー走査型顕微鏡では、さまざまな倍率の対物レンズを使用できます。 そのため、レーザー走査型顕微鏡の最大倍率は、使用する対物レンズによって異なります。 組織サンプル全体の構造を捉える場合は、低倍率の対物レンズが適しています。 組織を構成する細胞の形状を捉える必要がある場合は、中程度の倍率の対物レンズで十分です。 高倍率の対物レンズは、組織を構成する細胞内の微細構造の観察に使用できます。

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