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Illumination for fluorescence microscopes (Japanese text only)

光源は蛍光観察すべての源 

皆さんが蛍光顕微鏡を使って標本観察を行う際、最初に触るスイッチはどこでしょうか。それは、光源を点灯させるスイッチです。今回は、その光源の選び方と適切な使い方についてご紹介します。顕微鏡において光は欠かせません。蛍光観察をする場合は、蛍光観察をする為の光源についてよく知っておくことが大切です。


光源の種類を選ぼう

図1 光源の概要

図1 光源の概要

光源から出た光の強さを1とすると、サンプルより発せらる蛍光は、なんとその100万分の1程度しかありません。そのため、蛍光イメージングにおいて明るくクリアな像を観察するためには、光源の光はなるべく強くなければなりません。

実際に顕微鏡の後部にあるランプハウスという黒い箱の中をのぞいてみると、光源、ミラーやコレクターレンズ(集光レンズ)が入っています。光源から出た光は四方八方に向かいますが、ランプハウスの後ろ側に貼られているミラーとコレクターレンズによって光をたくさん集めランプハウスから平行な光となって顕微鏡へと出ていきます(図1)。

また、蛍光イメージングをマルチカラーで観察するためには、紫外域から赤外域までの幅広い波長で、様々な蛍光色素を励起させられる光源が必要となります。


1.実験条件に合わせて輝度が高い光源を選ぼう

近年、様々な種類の光源が販売されていますが、それらの光源の中から、自分の実験条件にあった光源を選ぶことは重要です。まずは、蛍光観察の基本的な光源である水銀ランプとキセノンランプについて、それぞれの特徴を紹介します。

図2 水銀ランプとキセノンランプの光源スペクトル

図2 水銀ランプとキセノンランプの光源スペクトル(クリックすると画像が拡大されます)

  • 水銀(Hg)ランプ
    蛍光灯と同じ原理のランプです。電気を流すとガラス管内で放電がおこり、その管中に封じ込めた水銀ガスに電子が衝突することで光を放出します。この光源から発せられた光の成分(光源スペクトル)は、紫外から赤外までの幅広い波長を含んでいます。特定の波長で非常に強い光(輝線)が複数あり、市販されている多くの蛍光色素に対応しています。

  • キセノン(Xe)ランプ
    管内にキセノンガスが封入されており、水銀ランプと同じ原理で発光します。この光源から発せられた光は、紫外から赤外までの幅広い波長の光を含んでいますが、水銀ランプの光源スペクトルと比べるとキセノンランプの光源スペクトルは強い輝線がなく、幅広い波長域でなだらかになっています。最大輝度は低いものの、キセノンランプは広い波長域の光を使用することができるのです。

クリアな蛍光イメージングには、より強い輝度の光源が求められます。様々な試薬を使うことが予想される研究室では、まずは汎用性の高い蛍光色素に対応できる輝線が複数ある水銀ランプを選択するのがよいでしょう。使いたい色素に対応した励起光が水銀ランプでは得られない場合には、広い波長域で光を発光しているキセノンランプの導入を検討してみてください。


2.マルチカラーで観察する場合には色収差を補正しよう

光源から発せられた光は、コレクターレンズを経由して、平行な光となって顕微鏡に出ていきます。しかし、光源が含む紫外から赤外までのすべての波長の光を平行にするのは難しく、少しずれてしまうものもあります。光が平行から大きくずれると観察している視野の明るい領域の大きさが異なって見えます。光源とコレクターレンズの距離を波長ごとに調節して光が平行に出るようにピント合わせをすると、それぞれの波長ごとにクリアな蛍光イメージング像を得ることができるようになります。

しかし、マルチカラーで蛍光観察を行う際は、いちいち光源のピント合わせをしなくても、複数の波長の光でクリアな蛍光イメージ像を得たいものです。
そこで、色収差を補正したアポクロマート(Apo)のコレクターレンズを使うことによって、どの波長域の光も平行に進むように補正することができるようになりました。水銀、キセノンともApoランプハウスがあります。

「こだわりのレンズ選び~収差にこだわる~」では、対物レンズの色収差について解説しました。水銀Apoランプハウスも、この色収差を補正するように改良したものです。

色収差の復習についてはこちらを参照

マルチカラーを観察したい場合には、Apoシリーズのランプハウスを選んで観察することをお勧めします。

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シグナルを上げるために強い光を

クリアな蛍光イメージング像を得るためにS/N比を上げる必要があることは、これまで何度もお話ししてきました。ここでは、光源におけるシグナルを上げるためのポイントをご紹介します。

一つ目は、なるべく強い輝線がある光源を利用することです。光源は、使用時間が長くなるのに伴い、徐々に輝度が下がってきます。現在の光源は、300時間を目安に取り換えていただくことをお勧めしています。

二つ目は、色素の励起波長の波長域に強い輝線がある光源を選ぶことです。

図3 Alexa Fluor 546、U-FGW 及び Hg光源の波長スペクトル

図3 Alexa Fluor 546、U-FGW 及び Hg光源の波長スペクトル

たとえば、蛍光色素Alexa Fluor 546を使用する際は、緑色の波長域の励起光を当てますが、水銀ランプでは、ちょうどこのあたりに非常に強い輝度の輝線(546.1nm)があることがわかります。つまり、水銀ランプはAlexa Fluor 546を用いた蛍光観察に適している、といえます。

三つ目は、光源が対物レンズまでの光軸上にぴったりと合うように調整する「心出し調整」を正しく行うことです。光源からの光をすべて顕微鏡に送り込み、クリアな像を観察するために必要な操作になります。顕微鏡を設置するときにしっかりと行うことで、その後はランプハウスを動かさないようにすれば、頻繁に調整する必要がなくなります。


ノイズを下げるために

次に、ノイズを下げるポイントをご紹介します。

光源のノイズは、光源が不安定な状態にあることが原因だと考えられます。点灯直後の光源は非常に不安定で、明暗が繰り返している状態になっており、これが観察時のノイズとなります。蛍光観察を行う際は、まず光源のスイッチを入れ、点灯後10分から15分ほどして光源の明るさが安定してから観察するのが望ましいです。
また、使用時間が300時間を超えてくると、ランプ内部の放電をしている金属部分が摩耗してしまい、光を発している部分がゆらゆらと明滅してしまうことがあります。ちらついてきたなと感じたら、早めに取り替えることをお勧めします。


本記事で紹介されている製品の関連情報はこちら

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