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Understand microscopes (Japanese text only)

顕微鏡とは 

この回では、顕微鏡ではどんなものが見えるのか、そして見えるとはどういうことかを理解し、
顕微鏡がどのようにして生まれ、今日まで発展してたのかを学習する。


1.顕微鏡で見えるもの
1-1.顕微鏡のはじまり

肉眼では見えない遠くのものを見たいという人間の欲求が望遠鏡や双眼鏡を生んだように、肉眼では見えない小さなものを見たいという人間の好奇心や探究心が、顕微鏡を生み出した。
今日、顕微鏡は医薬品の研究開発、病院の検査、精密機器部品の研究開発、教育現場など社会のさまざまな場所で私たちの生活を支えるのに役立っている。


顕微鏡では何が見えるか

肉眼で見える大きさは0.1mm(100μm)程度、ちょうど細い髪の毛の太さぐらいである。これ以下のものは肉眼で見ることはできない。では、顕微鏡ではどうか。光を用いる光学顕微鏡の場合、一般的に数十倍から1500倍ぐらいまで拡大でき、0.2μmくらいの大きさまで見える。ゾウリムシやヒトの卵、大腸菌といったミクロの世界の観察ができる。
また、光の代わりに電子を用いる電子顕微鏡になると100万倍ぐらいまで拡大できる。光学顕微鏡では見えないウイルスやDNA、物質の原子など、ナノの世界を観察することが可能である。

図1 さまざまなものの大きさ


図1 さまざまなものの大きさ

図2 千円札の拡大写真


図2 千円札の拡大写真


1-2.顕微鏡観察の3つの要素

顕微鏡は、小さくて見えないものを大きくして人間の眼で見えるようにする装置である。顕微鏡を使うことによって、我々は肉眼では見ることのできないものを見て、それがどのようにできているかを観察することができる。では、正しく観察できるとはどういうことかを考えてみよう。

見たい大きさで見える(倍率)
肉眼では見えない小さなものを見るためには、対象物を拡大することが必要である。下図のように、小さな生き物を大きくしてみると個性的な形をしていたり、たくさんの毛が生えていたり、新たな発見がある可能性を秘めている。正しい観察をするためには単に大きくできればよいのではなく、見やすい大きさ、 見たい大きさで見えることが重要である。

図3 珪藻(対物10×)
図3 珪藻(対物10×)
図4 珪藻(対物40×)
図4 珪藻(対物40×)

見分けられる(分解能)
観察したいものを拡大しても、見たい部分が細部にわたってはっきりと見えなければ満足な観察はできない。見たい部分が十分に精細に見え、正しく見分けることができるかが重要である。
下図は、同じものを写した写真だが、図5は見たい部分がくっついたり重なって見えたりする。図6のように見たい部分が精細に見えれば、正しい観察結果を得ることが可能である。

図5 分解能が不十分
図5 分解能が不十分
図6 分解能が十分
図6 分解能が十分

見つけられる/はっきり見える(コントラスト)
微生物をさらに拡大してみると、表面がでこぼこしていたり、細かな模様が刻まれていることがわかる。このような小さな凹凸や点を見つけるには、明暗や色でそれらがはっきり区別できることが必要である。
下図はコントラストの違う2枚の写真である。コントラストが低いと、明るい部分と暗い部分がはっきりせず、表面には何も見えない。一方、コントラストが高いと明るい部分と暗い部分の差がはっきりわかり、先ほどは見えなかった細かな凹凸を見ることができる。

図7 コントラストが低い
図7 コントラストが低い
図8 コントラストが高い
図8 コントラストが高い


チェックポイント

  • 顕微鏡の観察では、「見たい大きさで見える」「見分けられる」「見つけられる/はっきり見える」ことが必要である

2.顕微鏡の歴史
2-1.単レンズ顕微鏡(Single Lens Microscope)

1670年、オランダのアントニー・フォン・レーベンフック(A.F.Leeuwenhoek)が、虫眼鏡(ルーペ)の倍率を大きくした(約70~250倍)ものを製作した。これが単レンズ顕微鏡のはじまりである。
金属板の中央に数ミリの孔をあけ、そこにガラス球をはめたもので、針に虫などの標本を刺してガラス球を透して観察する。単純な構造ながら高性能で、この顕微鏡によって赤血球やバクテリア、精子などが発見され、生物学の発展に大きく寄与した。しかし、観察のしかたや見たものの記録など、取扱いが難しかったた め、その後は普及することはなかった。

図9 単レンズ顕微鏡
図9 単レンズ顕微鏡


2-2.複式顕微鏡(Compound Microscope)

複式顕微鏡は、1590年、オランダの眼鏡商ヤンセン親子(Hans&Zacharias Jansen)が、2つのレンズを組合わせることで物が大きく見えることを発見したことから生まれたと言われている。
その後、イギリスのロバートフック(Robert Hooke)が、1665年、自身で製作した顕微鏡で「植物細胞(セル:Cell)」を発見、「顕微鏡図譜(ミクログラフィア:Micrographia)」を発表した。この細胞の発見が、顕微鏡の飛躍的な発展の引き金となり、1700~1800年代、顕微鏡はイギリスを中心 に発展した。

その後、カメラなどの光学器械と共に、1800年後半あたりからドイツのツァイス(Zeiss)社、ライツ(Leitz)社などを中心に発展し、対象物や目的に応じたさまざまな観察方法が発明された。

一方、電子顕微鏡、超音波顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡、トンネル顕微鏡などの総称)、原理が異なるさまざまな種類の顕微鏡が発明され、今日、「顕微鏡」といっても必ずしも「光学顕微鏡」を指すとは限らなくなっている。

図10 複式顕微鏡
図10 複式顕微鏡

コラム:オリンパス「旭号」

旭号は、1920年(大正9年)、オリンパスがはじめて製造した顕微鏡で、唯一、砲金(青銅の一種)で製作された製品である。1924年(大正13年)には「新旭号」として改良、販売されている。

図11 オリンパス旭号
図11 オリンパス旭号

チェックポイント

  • 1つのレンズのみで拡大を行うものを「単レンズ顕微鏡」、2つ以上のレンズで2段階の拡大を行うものを「複式顕微鏡」という

  • レンズ1つでは拡大できる倍率に制限があり、より大きな拡大のできる複式顕微鏡が今日の顕微鏡の原型となった


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