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VS200リサーチスライドスキャナーを用いた厚みのある蛍光サンプルのデジタル化


SLIDEVIEW VS200リサーチスライドスキャナーを用いた厚みのある蛍光サンプルのデジタル化

はじめに

Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics(MPI-CBG)(ドイツ、ドレスデン)では、オリンパスSLIDEVIEW VS200リサーチスライドスキャナーを使用して、扁形動物のプラナリアSchmidtea mediterranea(以降S. mediterranea)の再生能力を研究しています。S. mediterraneaは、システム再生生物学で一般的に用いられる研究モデルです。

S. mediterraneaの利点として、以下の点が挙げられます。

  1. ラボ内で十分な数の成体を低コストで維持できること
  2. 近年ゲノムが解読されたこと
  3. RNA干渉(RNAi)による遺伝子機能喪失研究のモデルとして確立されていること

Schmidtea mediterraneaの再生能力の解明

MPI-CBGでは、小さく切り分けても、それぞれの断片が完全なバランスのとれたミニプラナリアに再生されるというS. mediterraneaの驚くべき特性を利用して研究を進めています。このプロセスでは成体幹細胞が重要な役割を果たし、単一の成体幹細胞でも完全なプラナリアを復元できます。

現在、多くの研究者がS. mediterraneaの再生方法を解明しようとしています。その重要なステップが、S. mediterranea初の連続したゲノムアセンブリであり、MPI-CBGとHeidelberg Institute for Theoretical Studies(HITS)の共同で、Nature誌で報告*されました。

そのアセンブリは、新規の巨大な反復配列と新たな扁形動物固有の遺伝子を含むゲノムを明らかにしていますが、生物の生存維持に絶対不可欠とされる他の遺伝子を欠いています。そして、この発見は、再生研究、幹細胞生物学、バイオインフォマティクスの分野に影響を与える可能性があります。

Schmidtea mediterraneaの高解像度蛍光画像の取得

MPI-CBGの研究者たちは、VS200スライドスキャナーの強力な機能を活用して、高解像度の蛍光画像を取得しています。

「オリンパスのVS200は、高解像度画像を簡単に取得でき、リアルタイムのボケ修正機能TruSight Liveも搭載されています」とMPI-CBGのTobias Boothe博士は話します。

用意する標本は、スライドに固定する前に切断しないため、かなり厚みがあります。この厚さ200~300 μmの標本を扱うには、TruSight LiveやZスタック機能が欠かせません。

TruSight Liveを使用すると、焦点面の上下からの無用な散乱光を低減できます。そして、特殊な2Dデコンボリューションアルゴリズムで再演算処理をかけることにより、 シャープで鮮明な画像になります。

今回の研究では、S. mediterraneaをスライドに固定し、生殖可能な個体の2つの卵黄腺マーカーをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、VS200スライドスキャンシステムを使用して対物レンズ10倍でスキャンしました。2つのマーカーはフェリチンとサーファクタントBで、更にDAPIによる核の対比染色も行いました。

以下の左の画像は、スキャン時にオンラインのボケ除去が適用されなかったもの。右の画像では、スキャン時に3つのチャンネル(DAPI、FITC、CY3)すべてにTruSight Liveが適用されました。

S. mediterraneaをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、DAPIによる対比染色を行い、オンラインのボケ修正を適用せずに対物レンズ10倍でスキャンした画像S. mediterraneaをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、DAPIによる対比染色を行い、オンラインのボケ修正を適用して対物レンズ10倍でスキャンした画像

S. mediterraneaをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、DAPIによる対比染色を行い、対物レンズ10倍でスキャンした画像。 左:オンラインのボケ修正なし。 右:3つのチャンネル(DAPI、FITC、CY3)すべてにオンラインのボケ修正を適用。右の画像は各信号の周りのフレアが取り除かれているため、左の画像よりも鮮明です。サンプル提供:Miquel Vila-Farré, MPI-CBG

「プラナリアの成体に生殖組織が豊富にあることを示し、動物の再生能力の関連性を解明する研究において、今回我々が取得した画像やデータが欠かせません。そして、サーファクタントBやフェリチンなど複数の遺伝子マーカーを使用する必要があります。」とMPI-CBGのMiquel Vila-Farré博士は話します。

TruSight Liveの代わりに、最大31層のバーチャルZスタック画像を取得することもできます(下の画像を参照)。

S. mediterraneaをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、対物レンズ10倍で31層をバーチャルZスタックでスキャンした画像。S. mediterraneaをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、対物レンズ10倍で通常スキャンした画像。

S. mediterraneaをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)し、対物レンズ10倍でスキャンした画像。 左:31層のバーチャルZスタック。 右:通常のスキャン画像。 サンプル提供:Miquel Vila-Farré, MPI-CBG

Zスタックによってシームレスに焦点を合わせて、サンプルの厚さ方向の信号分布を見ることができます。

下の画像は、S. mediterranea内の2つの排泄系マーカーをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色したものです(Smed-cubilin-1(FITC、緑色)と新規遺伝子dd_2920(CY3、赤色))。核染色にはDAPI(青色)を使用しました。

「プラナリアの排泄系構造組織と脊椎動物のネフロンを比較するため、Smed-cubilin-1とdd_2920をマーカーとして使用し、プラナリアの排泄系にある2つの異なる細胞種、近位尿細管細胞とろ過細胞をそれぞれ視覚化しました」とMPI-CBGのHanh Vu博士は話します。

S. mediterranea内の2つの排泄系マーカーをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)。

S. mediterranea内の2つの排泄系マーカーをin situハイブリダイゼーションで二重蛍光染色(赤色と緑色)。

まとめ

オリンパスVS200リサーチスライドスキャナーは、S. mediterraneaのように厚みのあるサンプルの蛍光画像を高解像度でスキャンできます。そして、厚みのあるサンプルを詳細に観察・解析する際に、TruSight LiveとZスタックは欠かせない撮影機能といえます。


アプリケーションノート制作にご協力賜りました先生:

  • Dr. Tobias Boothe, Postdoc at the Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics, Dresden, Sachsen, Germany
  • Dr. Miquel Vila-Farré, Postdoctoral Researcher at the Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics, Dresden, Sachsen, Germany
  • Dr. Hanh Vu, Postdoctoral Researcher at the Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics, Dresden, Sachsen, Germany
  • Dr. Daniel Göttel, Application Specialist, Olympus Soft Imaging Solutions GmbH, Münster, Germany

参考文献
*Nature; 24 January, 2018 (DOI: 10.1038/nature25473).

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