インキュベーションモニタリングシステムは、培養環境中の細胞をモニタリングしながら、細胞増殖過程におけるコンフルエンシー、および細胞/コロニーカウントの解析が可能です。これらの解析機能の精度は、細胞培養状況を正しく把握する上での重要なファクターであり、実験の再現性に大きく影響を与えます。2021年のCM20に関する市場調査の中では、解析機能の改善要望を多くいただき、CM30のリリースによってコンフルエンシー解析機能の改善が実現されました。そして今回のソフトウェアアップデート(Version2.2.1)では、新たにCM30のセルカウント解析機能が改善されました。ここではその追加機能の一部をご紹介します。
細胞密度毎のパラメーター設定機能
従来のセルカウント解析機能では、プロジェクトに対し適用可能な解析パラメーターが1に決まっており、増殖に伴って形やサイズが変化する細胞種のカウントを苦手としていました。例えば細胞種によって、低密度状態で解析パラメーターを設定すると、高密度状態ではカウント結果が真値に対して外れるケースがありました。
その為、CM30 Version 2.2.1では、低/中/高の細胞密度毎に解析パラメーターを設定できる機能を追加し、増殖によって形やサイズが変化する細胞種においても、最適なパラメーターを適用させることができるようになりました。これによって、細胞密度全域で真値に対し±10%以内のカウント結果を実現しています。
計7株の評価用HUVECにおいて、カウント真値(GT)に対する現行のセルカウントと新しいセルカウントの解析結果を比較した図。 細胞によっては、低密度と高密度で最適なセルカウントパラメータが異なる場合があり、従来機能では苦手とする細胞種があったが、そのような細胞においても、細胞密度毎の最適なパラメーター設定により、細胞密度全域に渡って真値に対して±10%以内のセルカウント結果を実現した。真値は目視かつ手動でカウントしている。
セルサイズの自動推定とパラメーターの比較機能
従来のセルカウント解析機能では、パラメーター設定に対する基準が曖昧で、どのように設定するのが最適なのかユーザー側が判断しづらいという課題がありました。その為、正しくパラメーターが設定できているかという「不安感」と、カウント結果に対する「不信感」を生み出す要因となっていました。 この課題を解決するべく、CM30 Version 2.2.1では、セルサイズを自動で推定する機能とパラメーターを比較する機能を新たに実装しました。
- セルサイズの自動推定機能は、ワンクリックで画像からセルサイズの値を推定し、基準となるパラメーターをソフトウェア側から提案してもらうことができます。これにより、基準となるパラメーターのカーソル初期位置が提示されるため、ユーザーが設定に頭を悩ませる必要が無くなりました。勿論、ユーザーは最終的にパラメーターを決定することができ、提案された値で納得できない場合は、パラメーターを再調整することも可能です。
- パラメーターの比較機能は、パラメーター設定の調整前後において、カウント量の変化を2画面で数値とともに比較することができます。これにより、設定前後のカウント結果を一度に確認しながら、最適なパラメーターを追求することが可能になりました。これらの機能により、適切なパラメーター設定を目指す上での基準値が明示されるため、設定に対する「不安感」や、結果に対する「不信感」の払拭を実現することができました。
今回は、CM30 Version 2.2.1の機能改善のうち、「細胞密度毎のパラメーター設定機能」と「セルサイズの自動推定とパラメーターの比較機能」にフォーカスした内容をご紹介しました。これらの機能改善により、従来のセルカウント解析機能と比較して、より解析結果の「正確性」や「納得性」の向上を実現しました。
CM30 Version 2.2.1では、他にも改善されたセルカウント解析機能がございます。 詳細については、当社までご相談 いただき、是非デモにてアップデートされたCM30をご体感ください。