Do you know the function? - Light axis and diaphragm

その機能、使っていますか? ~光軸と絞りの調節~

光学顕微鏡には、様々な調整ダイヤルやつまみがついています。これらを頻繁に使う人は多くないかも知れませんが、実際には観察したいサンプルや対物レンズに合わせてその都度調整を行うことで、明るさや分解能、コントラスト、ピントを大きく改善することができます。
これらを使いこなして最適な調整を行うことが、顕微鏡の上級者への第一歩。その中でも今回は「光軸と絞り」に注目して、調整法をご紹介します。


顕微鏡内での光の道筋

美しく正確な像を得るためには、過不足なく均一に、かつ最良のコントラストと分解能が得られるように照明光をサンプルに当てることが大切です。
そのために、まずは光源からサンプルへと至るまでに、光がどのような道を通るのか、その「光路」を把握しておきましょう。

通常の光学顕微鏡では、光源からの光は、「視野絞り」「開口絞り」という2つの絞りを通過した後、「コンデンサ」を通ることでサンプル面へと集まります。この2つの絞りは光路につくられた門のようなもので、「視野絞り」はサンプル面に光が当たる範囲を、「開口絞り」は照明光の開口数を調節しています。また、「コンデンサ」は絞りを通過した光を集光するためのレンズで、その高さを変えることで集光位置を調節することができます。

光学顕微鏡の光路図
光学顕微鏡の光路図

この「視野絞り」、「開口絞り」、および「コンデンサ」を最適に調整してはじめて、対物レンズの開口数とサンプルの実視野に過不足のない明るく均一な光が得られ、その光をサンプルに当てることで、最良のコントラストと分解能で観察することができるようになります。
それではさっそく、それぞれの調整方法を見ていきましょう。
今回は全ての顕微鏡に共通する、明視野観察のための最も基本的な調整方法についてご紹介いたします。

基本操作箇所と名称
基本操作箇所と名称


調整1.視野絞りとコンデンサ(光軸の調整)

光軸調整の手順
光軸調整の手順
  1. まず「コンデンサ上下動ハンドル」を回して、「コンデンサ」を上限位置まで上げます。
     
  2. そして「開口絞り」と「視野絞り」を全開にし、対物レンズを10×にします。
     
  3. 次に、サンプルをステージに載せてセットし、接眼レンズを覗きながらそのサンプルにピントを合わせます。
     
  4. 続いて、「視野絞り環」を回し、全開にしておいた「視野絞り」を絞っていきます。(図a)光の範囲が、視野よりも小さくなるのがお分かりいただけるでしょうか?(このとき視野内に小さな円が見えますが、その周辺部はぼやけている状態です。)
     
  5. 次は、「コンデンサ上下動ハンドル」を回して「コンデンサ」を少し下げ、視野絞り像にピントを合わせます。このとき視野絞り像(きれいな多角形の像)がクリアに見えるまで、ゆっくりと「コンデンサ上下動ハンドル」を回して調整します。(図b)
     
  6. 続いて、コンデンサ受けについた2つの「コンデンサ心出しつまみ」を両手でゆっくり回し、視野絞り像が視野の中心にくるようにします。(図c)
     
  7. ここまで調整が済んだら、「視野絞り環」をゆっくりと開く方に回し、視野絞り像が視野に内接する状態になれば、視野絞り(コンデンサ)の心が出たことになります。(図d)
     
  8. 実際に使用する際はもう少し視野絞りを開き、視野に外接する程度に広げます。(図e)


これで、視野絞りとコンデンサの調整は完了です。

観察視野の大きさは対物レンズによって異なるため、レンズを変えたらいったん視野絞りを閉じ、再度ぎりぎりの範囲まで広げるようにするといいでしょう。
視野絞りが開きすぎていると、サンプルや光路の途中の壁に余計な光が当たり、コントラストに悪影響を与えます。微分干渉観察の場合は、特に影響が大きいため、培養細胞などを観察していてコントラストが悪いと思ったら、視野絞りの調整を確認してみましょう。


調整2.開口絞り

サンプルへの照明光の開口数を決める「開口絞り」は、観察像のコントラストと分解能に影響します。調整のためには、まず接眼レンズを外すことから始めます。
接眼レンズを外した穴(スリーブ)から鏡筒の中を覗いてみると、明るく輝く円が見えるはずです。(図1)その円のことを「対物レンズの瞳」と呼びます。その瞳を見ながら開口絞り環を回すと、瞳の中で多角形の光の像(開口絞り像)のサイズ変化を見ることができます。

開口絞りの調整
開口絞りの調整

開口絞りは、開口絞り像の直径が対物レンズの瞳の直径の70%~80%くらいになるように調整しましょう(図2)。開口絞りが開きすぎていると分解能は高 くなりますがコントラストが低下し、全体的にぼんやりとした像になります。逆に絞りすぎていると、コントラストは高くなりますが分解能が低くなり、サンプ ルの細部が見えなくなってしまうのです。

開口絞りの効果(1)
開口絞りの効果(1)

また透明なサンプルの場合は開口絞りを最小に絞ることでコントラストが高まり、サンプルの形状をより見易くできる場合があります。しかしその場合は、実際 にはもっと細かい構造があるのに、分解能が低下しているために見えなくなってしまっているかもしれない、ということを意識する必要があるでしょう。

開口絞りの効果(2)
開口絞りの効果(2)

開口絞りも対物レンズの開口数に合わせて調整する必要があります。最良のコントラストと分解能で観察するためには、レンズ交換のたびに調整を行うようにしましょう。


絞りを使いこなせば、顕微鏡の上級者!

視野絞りと開口絞りは最適な調整をしなくても、それなりの像を見ることはできます。しかしサンプルの本当の状態を捉えるためには、これらの調整は欠かせません。そういう意味で、絞りを使いこなしているかどうかは、その人が顕微鏡をどれほど使いこなしているかの指標となります。
みなさんも調整を行う習慣をつけて、顕微鏡の上級者を目指してください!


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