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Contrast and image quality

顕微鏡の能力 その2 ~コントラスト・画質を決める要素~ 


2.コントラスト

顕微鏡の能力を決める3つの機能のうち残りのひとつが「コントラスト」である。分解能によって2つあるものを2つと認識でき、それを人が確認できるように拡大されていたとしても、背景に溶けこんでいたら、はっきりと見えない。コントラストは、見たい試料の状態をはっきり見るためにあると考えてよい。


2-1.コントラストを決める要素

コントラストに影響を与える一要素としてS(シグナル:Signal)とN(ノイズ:Noise)の関係がある。時間や空間における測定可能な量(S:信号・試料の構造)に、いかにノイズ(N)が載らないかということである。この量の比率(S/N比)で表す。S/N比が高ければ測定量に対してノイズの影響は小さくなり、高画質でコントラストが高いということになる。逆に、S/N比が低ければノイズの影響が大きく検出されにくくなる。

よりよく見えるようにするには、シグナル量を上げるか、ノイズを減らすかそのバランスで決まっている。各観察法におけるシグナルとノイズの関係を以下の表にまとめる。

表1 観察法とS/N

S:シグナル N:ノイズ
明視野観察 像の色情報、明暗情報 視野絞り調整の迷光
試料以外のぼけ像
暗視野観察 像の明るさ 試料以外の明るさやぼけ像、背景の明るさ
位相差観察 像の明暗のコントラスト(干渉) 試料以外のぼけ像(リングぼけ)
微分干渉観察 像の明暗・色のコントラスト(干渉) 視野絞り調整の迷光
試料の複屈折による干渉光
蛍光観察 像の蛍光の明るさ 非特異蛍光(自家蛍光など)
励起光の迷光
偏光観察 像の明暗・色のコントラスト
(偏光干渉)
試料以外の干渉光
レリーフコントラスト観察
(ホフマンモジュレーション観察)
像の明暗(屈折) 背景光の明るさ
分散染色観察 像の色情報(屈折) 試料以外の輝度、背景の明るさ

照明系の開口絞りと視野絞りもコントラストに関係している。

  • 視野絞り:適正値は実視野よりもわずかに大きい(観察視野に外接する大きさ)
    適正値より大きい・・・迷光によるノイズの増加。
    適正値より小さい・・・観察視野が小さくなる。背景光の明るさ
  • 開口絞り:適正値は対物レンズ開口数の70~80%の大きさ
    適正値より小さい・・・コントラストが良くなる。分解能は悪くなる。
    適正値より大きい・・・分解能は良くなるがコントラストが悪化する。

    図1 視野絞りと開口絞り
    図1 視野絞りと開口絞り

2-2.視野絞り(Field Stop)

透過照明の視野絞りは、観察している実視野だけに照明が当たるように調整する機構である。絞っていくと、視野は六角形や八角形などの多角形に狭くなっていくが、観察像の明るさは変わらない。視野絞りを開きすぎると不必要に広い範囲を照明してしまい、試料や光路の途中の壁に余計な光が当たり、ノイズ発生の原因やコントラストに悪影響を与える。実視野の大きさは対物レンズの倍率で決まるため、視野絞りの大きさは対物レンズごとに適正値がある。

落射照明の視野絞りは、対物レンズがコンデンサを兼ねるため、ある対物レンズで適正値にセットすれば、他の倍率に切換えても調整する必要はない。


コラム:視野絞りの調整

対物レンズによって観察視野の大きさは異なるため、レンズ交換ごとに視野絞りを閉じ、ぎりぎりの範囲まで広げるようにする。以下に10×対物レンズでの方法を示す。

  1. 視野絞りと開口絞りを全開にし、10×対物レンズにする。
  2. コンデンサ上下ハンドルでコンデンサを一番上まで上げる。
  3. 試料(普段使用しているもの)をステージにセットしてピントを合わせる。
  4. 視野絞りを絞る。
    (このとき、視野内に小さな円が見えるが、その周辺部はぼやけている状態となる(1))
  5. コンデンサ上下ハンドルでコンデンサを下に動かし、ピントを合わせる。
    (ピントが合うにつれて周辺部がはっきりとし、多角形になる(2))
  6. コンデンサに付いた2つの心出しネジを回し、多角形が視野の中心にくるようにする(3)。
  7. 多角形が中心にきたら視野絞りを開き、視野に外接する大きさまで開く。

図2 視野絞りの調整方法
図2 視野絞りの調整方法


コラム:視野絞りが広すぎるときの現象

視野絞りが広すぎると、瞳の外側に迷光による明るいリングが複数見える。この迷光は、像のコントラストを悪化させるため、視野絞りを正しく調整して迷光を少なくすることが必要である。

図3 瞳の外側に見える光のリング
図3 瞳の外側に見える光のリング


2-3.開口絞り(Aperture Stop)

開口絞りは、照明光の開口数を調整する機構である。その調整により視野の明るさが変わる。透過照明型顕微鏡の場合は、開口絞りはコンデンサの中に入っておりコンデンサレンズの開口数に影響している。ホプキンスの分解能係数のグラフ(顕微鏡の能力 その1 ~分解能と倍率~ 図3 参照)で、コンデンサレンズと対物レンズの開口数の比率(r)が横軸になっているが、まさにこの数値を左右するものになる。

通常の明視野照明で観察する場合、r値は0.8程度が最も自然となる。この状態から開口絞りを開放してしまうと、分解能は高いがコントラストが低下し、逆に開口絞りを絞っていくと、不自然に強調されたコントラストになり分解能が低くなる。この状況は落射照明型顕微鏡でも同様である。

開口絞りと対物レンズの関連は、コントラストや分解能に大きな影響が出るため、対物レンズを変更したら必ず開口絞りの調整が必要となる。

図4 開口絞りの調整による違い
図4 開口絞りの調整による違い


コラム:開口絞りの調整

一般的に最適とされる開口絞りの設定を以下に示す。

  1. 鏡筒から接眼レンズを外す。(1)
  2. 接眼レンズを外した中に見える対物瞳を見ながら開口絞りを絞る。(2)
  3. 開口絞りが対物瞳直径のおおよそ70~80%程度になるようにする。(3)

図5 開口絞りの調整方法
図5 開口絞りの調整方法


2-4.瞳(Pupil)

顕微鏡の光学系には「瞳」と呼ぶ場所があり、そこではすべての光が均一に通過する。コンデンサ、対物レンズ、接眼レンズには瞳は2つあり、光が入射 する側(光源側)の瞳を「入射瞳」、射出する側(観察者側)の瞳を「射出瞳」という。単に瞳と呼ぶ場合は、コンデンサでは入射瞳、対物レンズ、接眼レンズ では射出瞳のことをいう。レンズを介して物体と像との位置関係を「共役関係」というが、顕微鏡の瞳はすべて共役関係になっている。

【瞳の例】
コンデンサの開口絞り、位相差コンデンサのリングスリット位置、位相差対物レンズの位相板の位置、接眼レンズのアイポイント

光の物理的な状態を変えること(位相や波長分布、光束の強度分布を変えるなど)を「変調する」といい、通常、瞳位置で行う。後述する位相差観察、微分干渉観 察、レリーフコントラスト観察(ホフマンモジュレーション観察)では、瞳位置に光変調素子を入れて、変調した光を試料に当て、無色透明な試料を明暗や色の コントラストの像で観察できるようにしている。そのような瞳の役割を模式的に右図に示す。

※クリックすると画像が拡大されます。

図6 瞳の共役関係
図6 瞳の共役関係
図7 試料と像の共役関係
図7 試料と像の共役関係


コラム:瞳とは?

顕微鏡の瞳は「すべての光が均一に通過する場所」であり、人の瞳と同じ役割をする。
瞳は、常に一定の量の光を入れようと微妙に大きさを調節してい る。瞳を通過した光は、水晶体に入っていく。この「常に一定の量の光を入れようと微妙に大きさを調節している」その場所が、瞳の場所となる。顕微鏡では、 開口絞りや微分干渉プリズム、変調板(ガルバノミラー:光偏向ミラー)を挿入する箇所にあたる。

図8 人の目の仕組み
図8 人の目の仕組み


図9 人の目の瞳の役割
図9 人の目の瞳の役割


3.画質を決める要素

倍率、コントラスト、分解能の基本機能が十分に発揮されるには、観察像、撮影像で良好な画質が伴っている必要がある。画質を決める主な要素について以下に示す。

現象 原因
フラットネス フラットネス画像  中心のみピントがあっていて、周辺はピントがあっていない状態 プランでない対物レンズ
不適切な撮影用アダプタ
明るさのムラ 明るさのムラ 画像 光源のフィラメントの像が写り不均一になる。特に低倍で起こりやすい。コンデンサの上下位置や開口絞りの不適正によっても生ずる 光軸調整不良
コンデンサの使い方の間違い
光線のけられ 光線のけられ 画像 視野の周辺部分に像が結んでいない部分がある 中間鏡筒の組合わせ方の間違い
対物レンズ、鏡筒、接眼レンズの組合わせ方の間違い
周辺光量不足 周辺光量不足    画像 デジタルカメラで撮影したとき、視野の周辺と中心の光量に違いがあり、光のムラがでてしまうこと カメラアダプタの倍率が小さすぎる

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