オリンパス株式会社 (社長:笹 宏行) は、科学事業の新製品として、球面収差を自動で補正できるTruResolution対物レンズ「FV30-AC25W」「FV30-AC10SV」を理化学研究所と共同開発しました。本製品は2018年1月17日から全世界で発売します。
脳科学分野の研究では、神経の興奮伝導およびシナプス伝達のような高速な生体反応を高精細かつ立体的に観察することが求められています。当社では、そのような研究をサポートするための最上位機種として多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」(2013年7月発売)を提供しており、脳科学分野においてニーズの高い深部観察が可能です。
今回新たに発売するTruResolution対物レンズ「FV30-AC25W」「FV30-AC10SV」は、多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」専用の設計で、深部観察において発生しやすい球面収差※1を自動で補正可能です。これにより今まで見えにくかった神経細胞の微細構造まで明るく鮮明に観察できます。なお、本製品は理研BSI-オリンパス連携センター※2での研究成果をもとに開発したものです。
※1 サンプルや浸液の屈折率の差によって起こる焦点のゆがみ
※2 理化学研究所とオリンパスの連携研究施設
商品名 | 発売日 |
---|---|
自動球面収差補正機能付きTruResolution対物レンズ
「FV30-AC25W」「FV30-AC10SV」 | 1月17日 |
自動球面収差補正機能付きTruResolution対物レンズ | 多光子励起レーザー走査型顕微鏡 |
生命科学・医学の研究分野では、生きている組織や細胞を用いて、それらの役割や機能を解明する試みがされています。特に脳神経分野においては、メカニズム解明に向けて神経細胞の興奮伝導およびシナプス伝達のような現象を、脳の表面から深部にわたって高速かつ高精細に観察することが重要です。当社の多光子励起レーザー走査型顕微鏡「FLUOVIEW FVMPE-RS」は、そうしたユーザーの需要に応える製品となっています。
脳科学研究における深部観察では、観察する領域が深くなるほど、サンプルと観察に使用する浸液の屈折率の差による球面収差が大きくなり、鮮明な画像が得られにくくなるという課題がありました。今回の自動球面収差補正機能付きTruResolution対物レンズは、その課題を解決した製品です。理化学研究所・脳科学総合研究センターの脳科学に関する専門的知識と、当社の持つ光学技術を結集することで実現に至りました。理研BSI-オリンパス連携センターでは、研究者の観察実験を支援する過程で様々な課題を見つけ出す活動を行っており、本製品もそうした取り組みの中で生まれてきたものです。
1.自動球面収差補正により明るくクリアな深部観察を実現
従来、弊社製品の対物レンズで球面収差を補正する際は、対物レンズに付いている補正環※3を手で回して調整を行う必要がありましたが、観察位置をずらさないように調節するのが難しいという課題がありました。本製品では人の手を使わず、ソフトウェア制御した電動補正環により球面収差を自動で補正できます。深部観察では観察領域が深くなるほど球面収差が大きくなりますが、TruResolution対物レンズは深さに応じて最適に補正します。これにより常に明るくクリアな画像が取得できます。
※3 内部のレンズを移動させて球面収差を補正するリング状の機構
脳の神経細胞を観察した様子 (深さ600μm,左:補正前 右:補正後 )
2.本製品専用のソフトウェアにより簡単な操作で最適な補正が可能 理化学研究所の脳科学に関する知見と当社の光学技術を融合して、ソフトウェアを共同開発しました。これにより、本測定を行う前にサンプルを複数回スキャンして球面収差を計測するだけで、自動的に最適な補正量を計算し補正を行う事が可能になりました。 | 自動球面収差補正機能のインターフェース |
製品名 | FV30-AC10SV | FV30-AC25W |
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倍率 | 10倍 | 25倍 |
開口数(NA) | 0.6 | 1.05 |
作動距離(W.D.) | 8mm | 2mm |
浸液 | SCALEVIEW-A2※4 | 水浸 |
※4 標本組織を傷つけることなく深部観察できる標本透明化液
本リリースに掲載されている社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。
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