実体顕微鏡は、サンプルを巨視的かつ立体鏡的に観察するために有用なツールです。両眼に個別の観察経路を提供することによってサンプルにある程度の奥行を与えるため、まるで実際に目で観察しているかのように見えます。 実体顕微鏡は落射照明および透過照明という主に2種類の照明を備えています。
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サンプルの種類により、どの照明が最も適しているかが決まります。多くの場合、複数の方法を用いる必要があります。以下の表1に示すように、照明にも種類ごとに複数の観察法があります。
表1 ― 実体顕微鏡に一般に用いられる観察法
観察法 | |
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落射照明 |
偏射
同軸 偏光 蛍光 |
透過照明 |
明視野
暗視野 偏射 偏光 |
ここでは透過照明に着目し、その観察法について詳しくご紹介します。
透過照明での4つの一般的な観察法
透過光で一般的に用いられる観察法について、その特長をご紹介します。
明視野観察:明視野観察は最も広く用いられる方法です。透過光はサンプルの真下から当てられます。光がサンプルを通過するため、サンプルの高密度領域を通った透過光の減衰によってコントラストが生じます。サンプルが染色されず、無色な場合は、わずかな情報しか得ることができないため、他の観察法のほうが適している場合があります。
暗視野観察:暗視野観察は、無染色で透明なサンプルに適しています。通常、サンプルを通過する中心光は遮られ、あらゆる方向からの偏射光のみがサンプルに当たります。このような偏射光は光学的不連続によって回析したり、反射したり、屈折したりします。その結果、サンプルが黒色の背景に明るく見えます。
偏斜照明:偏射明も、無染色で透明なサンプルに適しています。この方法により、光の角度を調整してある程度のコントラストを得ることが可能になります。明視野と比較して高いコントラストが得られますが、暗視野と比較して低いコントラストです。偏射法では、サンプルの外観を容易に変えて、照明に適した角度を見出すことができます。
偏光観察:偏光透過照明は、岩石、鉱物の結晶の観察や、物質の複屈折性(入射した光が2つの屈折光に分かれる性質)の検出、測定を行うのに適した観察方法です。複屈折サンプルをポラライザーとアナライザーの間に置かなければならないため、偏光にはより多くの機器が必要です。コントラストは平面偏光と複屈折サンプルの相互作用から得られ、互いに垂直な平面で偏光する2つの別々の波成分が生じます。
明視野観察を用いて撮影されたゼブラフィッシュ
偏射照明(左)および暗視野観察(右)を用いて撮影されたメダカ
さまざまな観察
観察法を素早く簡単に切り替えることができれば、サンプルを効率的に観察できます。オリンパスの実体顕微鏡用LED透過照明架台を使えば、明視野照明、偏射照明、暗視野照明、偏光照明の切り替えだけでなく、異なるコントラスト法も手早く簡単に切り替えられるようになります。方法についてご興味がありましたら、次回のブログを是非ご覧ください!