顕微鏡において明るく均一な照明を実現することは、光源のスイッチをオンにするように単純ではないことがあります。 顕微鏡の光学系は複雑であるため、最適な画質を得るには管理と調整が必要です。 非常に簡単に行える光学調整の1つが、透過光による明視野画像が得られるケーラー照明です。
ケーラー照明の調整プロセスは正立型顕微鏡でも倒立型顕微鏡でも同じですが、コンデンサー、視野絞り、および開口絞りの場所は顕微鏡ごとに異なります。 構成部品の場所がわからない場合は、ご使用の顕微鏡のマニュアルを必ずご確認ください。
専門家からの助言: 調整プロセスを始める前に光学部品が汚れていないことを確認してください。対物レンズが汚れていると、ケーラー照明の調整が本来よりも難しくなることがあります。
1. 対物レンズを低倍率のものへ変更する
顕微鏡の対物レンズを低倍率のもの(10Xなど)に変更することで、視野を広げ、焦点深度を深くできます。
2. 試料に焦点を合わせる
光路内での開口位置が適切になるように、残りの光学調整の開始点として試料に焦点を合わせます。
3. 視野絞りを閉じる
試料に焦点を合わせたら、視野絞りを完全に閉じます。 焦点がずれている場合は、視野絞りの羽根ができるだけくっきりと見えるまでコンデンサーの高さを調節します。これは、試料に焦点を合わせることと同じです。
4. 視野絞り像を中心に移動させる
次に、視野絞り像が顕微鏡画像の中心になるように、視野絞りの位置を調整します。 コンデンサーの前部にある2つのつまみを使用して、視野絞りのXY位置を調整します。
中心位置を確認するために、8角形の辺が視野の端に接するまで視野絞りを開きます。 必要に応じて調整します。
5. 開口絞りを調整する
画像が得られたら、コントラストおよび分解能を制御するために開口絞りを調整します。 ベルトランレンズまたは同様の光学部品を使用して、後焦点面を視覚化できます。 開口絞り像が視野の約75%を占めるように調整してください。
開口絞りが開きすぎの場合(左)、最適に設定されている場合(中央)、閉じすぎの場合(右)における画質の比較
6. 視野から視野絞りを外す
最後に、視野絞り像がちょうど視野の外に出るように視野絞りを開きます。 視野絞りを全開にすると画質が悪くなるため、全開にはしないでください。
手順はこれだけです。 これで、高品質な顕微鏡画像を取得するための均一で明るい照明が得られます。
ケーラー照明に関する詳細は、当社の顕微鏡資料センター(Microscope Resource Center)にある入門書を参照してください。ケーラー照明の技術について詳しく説明されています。